気まぐれな救世主は保証人を知らぬ 4 ページ6
「立てますか?タクシー…はもう無いか。」
「んー、」
ダボダボしたパーカーの裾を丁寧に引っ張られて、おぼつかなかった足がやっと動き出す。
「う、あ」
膝ががくんと崩れ落ちた。くそう、あと少しだったのに。
「だ、大丈夫です…?」
「うぅ…ごめんしゃ…」
「全然呂律回ってないじゃないですか…」
まぁね。今日はめっちゃ気持ちよく呑んだから。珍しくひとりだけで。
だって誰とも予定が合わんかったから。
「へへへぇ。」
「楽しそうですね。」
「ちょっくらねぇ〜ん。」
全然知らない人のはずなのに、なんか親戚感。似たようなものがあるのをうっすらと感じる。なんでだろな。この子もyoutuber?でもスーツ着てるし。まぁスーツくらい着るけど。
「ほら、ちゃんと立って。」
「ん…ごめん、」
「さぁ、帰りましょう。足元暗いんで送りますよ。」
「えぇ?」
「幸い明日からまた就活なんで、時間は気にしないでください。」
前に凭れる体をしっかりと支えられ、やっと自立する。あまりにもふらふらする。
なんだ、この酔い方。明日やばいかも。
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作者名:枯成湖 | 作成日時:2020年5月26日 11時