600万の酔いどれ (ページ5)

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気まぐれな救世主は保証人を知らぬ　3 ページ5

おはよう。
その言葉を、久しぶりに聞いた気がする。いや、昨日聞いたか。虫さんだったかりょうだったか。昨日聞いた。
でも、女の声では随分と久しぶりだ。

気がついたら冷たいコンクリートの上で、自分の体温の熱だけが持て余されていた。酒が抜けきれてないから自分が何言ってるのかも分からない。ただ、おそらくとっくに数時間前の記憶であろう情景と、目の前の状況しか思い出せない。

何故かドンピシャな女がいたのだ。俺の肩に手を当てている。俺が何かしたような感じではなさそうな状況。むしろこの人が何かしてんのかな、俺に。財布とか丸出しにしてなきゃいいけど。いや、ちゃんとポッケに入れたはずだ。大丈夫。いや大丈夫か？

「んぁ、う、」

なんか変な声しか出ない。喉痛すぎる。

「あの…」

ゆっくり起き上がると同時に彼女が口を開く。

「すみません。こんなところじゃ寒いかと、」

なぁんだ。悪い人ではないのか。

「あぁ…」
「お家、帰った方がいいですよ。もう3時です。」
「もうしょんなお時間…？」
「ふふっ。はい。」

あれ、今笑った？
前の動画のネタなのに。