曲がり角 見覚えのある usg田淵 ページ9
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聞こえた。君の足音が。
『田淵っ!!』
「どうした。事件でもあったのか、」
『鈴木に続いて斎藤も付き合ったってよ!!』
はぁはぁ、と息を切らしてそう言ったAはどこか嬉しそうな表情を浮かべていた。
「そうなんだ」
『興味なさすぎ!少ない友達の中でお前だけだぞ。非リアなのは』
「自習中ですので。」
ちょっと冷たくしすぎたかな、と思ってノートに向けていた顔を上げると、至近距離にAの顔があって思わず「うおっ、」と声が出る。
『いいのか?君は彼女を作らなくて』
「俺彼女出来ても長続きしなそうじゃない?」
『確かに。』
目の前でこくんと頷くA。
相変わらず顔が近い。近すぎる。
ほんとやめて欲しい。心音が聞こえてしまう。
『でもさ〜、鈴木は惚気多いし、斎藤も絶対多そうじゃん?田淵しんどくない?』
「どうだろう。別に惚気聞くの嫌いじゃないし。」
なんでだよ!と変なものを見るようにこちらを見てくるA。
確かにAは惚気話とかは嫌いそうだ。
『...でもさ、』
「なんでさっきからそんな話ばっかしてくるの?」
聞くと、Aは眉を下げて、一瞬俺の目を見てまた逸らした。
『...興味、持ってほしいから...?』
「なんで疑問形なの...てかなんで興味持って欲しいの?」
またまた聞くと、Aは『あぁ!』っと頭を搔くとじっと俺の目を見つめた。
今度はすぐに逸らされずに長く見つめられた。
『好きだから!田淵が好きだから恋愛に興味持って欲しいの!
...田淵恋愛とか興味なさそうだから、』
だんだんと小さくなっていくAの声。
かぁっ、と自分の顔が熱くなっていくのを感じた。
「...興味無いわけじゃないよ。」
「...俺も好きだよ。Aが」
下を向いていたAの顔が急に上がって、また「うおっ、」と声が出る。
『なにそれ!そんな上手くいく話ある!?』
えっ!?と嬉しそうに笑うA。
...上手くいく話あるかなんて、俺だって思ってるよ。
___聞こえた。君の足音が。
また今日も笑顔を浮かべた君が来る。
【曲がり角 見覚えのある】
中々上手く書けない...。
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作者名:真白。 | 作成日時:2021年4月14日 16時