中学校は馬鹿がいっぱい�� ページ3
街に蔓延る、『個性』を悪用する犯罪者、『敵』。
彼らを倒すため、人々の平和を守るため、今日も『ヒーロー』が戦っている。
その姿を見て育った世界中のほとんどの子供たちは、ヒーローに憧れ、自分もなりたい、と思うことだろう。
「おはようっ、月ちゃん！」
教室へと向かう途中、背後から聞き慣れた声が飛んできて足を止めた。
「…おはよ、イズ」
ヒーローになることを夢見る子供たち。
そう、こいつ─────緑谷出久のように。
「月ちゃんさ、昨日のオールマイト特集見た！？」
「見てない」
「そうなの！？ いやもうほんと凄かったよ、有名ヒーローのインタビューとか」
「ああ、はいはい」
「そうだ、将来の為に色々メモっておいたんだけど月ちゃんももし良ければ…」
「いらないから」
差し出された手を振り払って、歩き始める。
しかしこの緑谷出久という男は、ちょっと困ったような顔をして、それでもひょこひょこ付いてきた。
「…なんかさ、月ちゃん、変わったよね」
「は？」
「あっああごめん！わ、悪い意味じゃなくてね！なんて言うか、その…昔はほら、よく一緒に応援してたじゃん。オールマイト…」
「………」
「何かあったの？それなら僕、相談に乗っ」
べしゃ。
変な音がした。
ちらりと後ろを見遣ると、そこには、だらしなくずっこけて顔から床に直撃した緑谷出久がいた。
衝撃でリュックの中身がばら撒かれる。
…こんなんでヒーローになりたいだなんて、よく言うよホント。
無個性の癖に。
散らばったノートやら教科書を拾い上げ、ようやく起き上がった彼に渡す。
「あ、ありがとう…ごめん」
───くすくす くすくす
───見ろよ、無個性二人が戯れてるぜ
───可哀想に、将来性ゼロだな！
誰かの囁きが聴こえる。
誰だろうか。まあ、誰でもいい。
集団に紛れてしか好き勝手言えない人間なんて、心底興味がないから。
「そっそんなこと！無個性だからってヒーローになれないなんて、まだ決まったわけじゃ…！」
───くすくす くすくす
───オイオイ無個性が何か言ってるぜ？
───仕方ないさ、現実を認められないんだ
───くすくす くすくす
「五月蝿い」
私が口を開くと、辺りが静まり返った。
誰かが騒げばみんなが騒ぐ、誰かが黙ればみんなが黙る。
集団心理？馬鹿みたい。
「自分一人じゃ面と向かって文句も言えない人間に、とやかく言われる筋合いはないわ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えす(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです…！！！更新待ってます！！！！！ (2022年6月14日 15時) (
レス) @page22 id: b60a07d35d (このIDを非表示/違反報告)
maria - 面白いです (2022年4月13日 0時) (レス) @page22 id: 2d8c9edfbf (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - とても面白い作品です！！更新楽しみにしてます！ (2020年3月29日 14時) (レス) id: 9de3fc0d23 (このIDを非表示/違反報告)
無月(プロフ) - 更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2020年3月22日 21時) (レス) id: c11dc81bfb (このIDを非表示/違反報告)
ますくれもん - あぁ出久君行っちゃダメ！！！魔女がぁあ！！！魔女がぁあ！！！ (2019年6月2日 3時) (レス) id: 35498019b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水葬 | 作成日時：2019年4月28日 3時
