記憶のぬるま湯に浸かって ｰ赤ｰ�� ページ18
「くぉぉぉらぁぁぁぁぁかっちゃん！！またイズをいじめたな！！ええいゆるさん、おかくご！！！」
「またおまえか！！！いつもいつも…うっせ消えろ！！！」
幼い頃、よく遊んだメンバーの中で、近所にやべえ女がいる、という有名な噂があった。
その正体がこの女。露月Aである。
「しね！！！」
女だろうがなんだろうが、手加減なんてするつもりはない。露月の額を掴んで爆発を起こす。
普通ならダメージを受け流すために後ろに下がるのだが、ソイツは引き下がるどころか爆破されてもなお、前進するのをやめない。
「いっっ……たいんだよ！！！かっちゃんのバカ！！！」
右手を伸ばして俺の右頬をひっ掴むと、そのまま横に押し退けた。しまった、と思ったのも束の間、バランスを崩して転びかける。
その時、手首を掴まれた。転ばずには済んだが、問題は手首を掴むその手が、露月のものであるということだった。
「…な、んだよ！はなせよ！おれのことコケさせたかったんじゃねーのかよ！」
「いや、しかろうとおもっただけ」
「は、はあ……？」
「めっ！」
全く意味が分からない女だった。派手にずっこけた俺を見てざまあ！とでも言うつもりかと思ったのに。
めっ、って。
「だって、転んだら、いたいでしょ？」
爆破されたときの傷から血を流しながら、露月はにこりと笑ってみせる。
こんなもの、なんでもないと言うように。
気持ち悪ぃ、この女！
その後も何度も喧嘩になったが、俺が勝てたことは一度もなかった。
けど、露月は毎回爆破でボロボロになって、俺はほぼ無傷。小さな擦り傷くらいのものだった。
手加減されている。
俺が怪我をしないように、気を遣われている。露月は無個性だから大した攻撃はできないにしても、こっちは手加減も気遣いもしていないのに、殴っても来ない。そんなに、そんなにヨユーなのかよ。
だいたいデクのことだってそうだ。
俺が「コイツはデクなんだぜ」と言った日からみんなが俺に従ってデク、デクと呼び出したのにも関わらず、この女だけは変わらずイズ、と呼んでいる。
気に入らねぇ。
気に入らねぇ。
出会ってからずっと、露月Aが目障りだった。
無個性のくせして反抗的なその態度が。
ぶっ叩いてもぶっ叩いても涙ひとつ流さないその眼が。
女にしては力がある方だと思うのに、俺に優しく触れるその手が。
いつも通り喧嘩をして別れて、その夜だった。
アイツの両親が死んだと聞かされたのは。
記憶のぬるま湯に浸かって ｰ赤ｰ�□�←記憶のぬるま湯に浸かって ｰ緑ｰ��
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えす(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです…！！！更新待ってます！！！！！ (2022年6月14日 15時) (
レス) @page22 id: b60a07d35d (このIDを非表示/違反報告)
maria - 面白いです (2022年4月13日 0時) (レス) @page22 id: 2d8c9edfbf (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - とても面白い作品です！！更新楽しみにしてます！ (2020年3月29日 14時) (レス) id: 9de3fc0d23 (このIDを非表示/違反報告)
無月(プロフ) - 更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2020年3月22日 21時) (レス) id: c11dc81bfb (このIDを非表示/違反報告)
ますくれもん - あぁ出久君行っちゃダメ！！！魔女がぁあ！！！魔女がぁあ！！！ (2019年6月2日 3時) (レス) id: 35498019b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水葬 | 作成日時：2019年4月28日 3時
