記憶のぬるま湯に浸かって ｰ緑ｰ�� ページ17
年齢が上がっていくにつれて、やっとお互い性別の違いを意識しはじめた(いやでもよくよく思い出したら何年経っても彼女の対応は変わらなかった気がする。意識していたのは多分僕だけ)。
家に来ることはなくなったものの、オールマイト関連のことについては抑えられないオタク的衝動を手紙にしたためてやりとりをしたり、スマートフォンを手に入れた日からはメッセージアプリでやりとりをしたりした。
勿論学校でも延々とヒーローの話を繰り広げていたし、かっちゃんがそれを見て「キメェ」と引いていた。ひどい。
学年が上がるたび、時間が経つたびに、月ちゃんは可愛くなっていった。
小さい頃からもともと美人だったんだとは思うけど、男の子のような立ち振る舞いや気の強さから、なんとなく意識から抜けていたそれが、彼女が年相応の落ち着きを得ると共にじわじわと実感させられる。
気が付いたら、もう好きだった。
それでも根っこの気の強さは変わらなくて、自分が無個性と知ったあとも相変わらずかっちゃんに絡みに行くし、爆破されても怯えるどころかブチ切れて喧嘩を始める始末だったけど。
「イズ！一緒にかーえろ！」
なんて、にこ、と微笑まれればもう、抗えるわけもない。
どんな小さな意地悪でも許せない性格の月ちゃんだったから、女の子の友達はあんまりいないみたいだった。
「女の子ってほんと陰湿でメンドー。大勢で気に入らない子囲んでさあ…来るなら堂々、一体一で決闘！だよね！」
「うーん…今どき男の子でもする人いないんじゃないかな…決闘…」
「ええっ！？果たし状、出さないの！？」
「出さないよ…月ちゃん、アツいの好きだよね」
「ヒーローにも大事なことでしょ？義理と人情！」
そうやって快活に喋る月ちゃんの表情が、とても可愛くて。
見ているだけで、幸せになれた。
僕が無個性と知っても、唯一変わらず夢を応援してくれた、そしてなんなら一緒になってやろう！ヒーローに！とまで言ってくれた月ちゃん。
強いものにも臆することなく、間違っていることは間違っていると言える月ちゃん。
そして喧嘩になって、殴られたり叩かれたりして僕はすごく心配したけど、それでも「私は正しいことをした」と、涙ひとつ流さなかった月ちゃん。
そして小学校6年生になり、いちばん先輩と言われる生活にも慣れてきた頃。
「…い…出久、出久聞いた？」
お母さんが真っ青な顔で言った。
「Aちゃんのご両親、亡くなったって」
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えす(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです…！！！更新待ってます！！！！！ (2022年6月14日 15時) (
レス) @page22 id: b60a07d35d (このIDを非表示/違反報告)
maria - 面白いです (2022年4月13日 0時) (レス) @page22 id: 2d8c9edfbf (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - とても面白い作品です！！更新楽しみにしてます！ (2020年3月29日 14時) (レス) id: 9de3fc0d23 (このIDを非表示/違反報告)
無月(プロフ) - 更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2020年3月22日 21時) (レス) id: c11dc81bfb (このIDを非表示/違反報告)
ますくれもん - あぁ出久君行っちゃダメ！！！魔女がぁあ！！！魔女がぁあ！！！ (2019年6月2日 3時) (レス) id: 35498019b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水葬 | 作成日時：2019年4月28日 3時
