【HQ】天才サーバー

10本 ページ11

「組めた！ 組めたよー！ 相手は県のベスト4・青葉城西高校！」


がらっ！と体育館の扉を開けて入ってきたメガネの小柄な男性。

我がバレー部の顧問・武田先生である。通称武ちゃんだ。


「青城！？」
『まじか』


今年入って初っ端の練習試合が青城か…。武ちゃんエグいとこ組めたね。どうしたの、まさか土下座したのか。


「してないしてない！土下座得意だけどしてないよ、今回は」




…やだな。得意技が土下座ってさ。



「ただ条件があってね…。影山くんをセッターとしてフルで出すこと」
「え」
『はぁ？』



うちの正セッターはスガだ。この2年間努力して、実力も積み上げてきた。部員のことだってよく分かってる。


影山を試合に出せ、ならまだ分かるけど影山だけを出せって…？


『俺は納得できないです』
「なめてんすか、ペロペロですか？」



武ちゃんを威嚇するな。田中の首根っこを掴んで引き止める。まぁ、俺も気持ちは同じだけど。



「まあ、いいじゃないか」
『スガ！ でも…』
「俺は、日向と影山の速攻が4強相手にどこまで続くのか見てみたい」


それは俺だって見てみたいけど…でも。


だからってスガを出さないのが条件だなんて。



「それともう一つ条件があって」



今度はなにを言い出すんだ。あいつめ試合でボコボコにしてやる。



「蒼井くんはどちらか片方のスコアが20点になってから出場してほしいそうです」
『は？』



どゆことどゆこと？

なんで俺の出場制限までかかってるわけ？謎だわ。



「理人さんに恐れをなしてるんですわ！やつら！」
「強い奴が恐れるなんてさすが理人先輩っす！」



これ絶対条件出したのあいつだな。うん。


澤村とスガがハラハラした目で俺を見ている。が、別にこの件に関して怒っているわけではないのだ。嫌だなと思っているだけで。



『いいよ大地。受けてたとうじゃん』
「！ そうだな。怖いのはお前らだけじゃないってとこを見せてやる」



せいぜい日向と影山の速攻に驚いてうまく囮にかかってくれるといいな。


青城に勝つためには、やはり2人の速攻は大きな鍵になってくる。これからの試合に勝つためにも。


練習試合なんだし、手を抜くってわけじゃないけど色々試してみるのはアリだよな。

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