緊急 ページ6
「おい、待て」
「あ、兄貴！ 」
まさに歩き始めたところで違う男に呼び止められた。
兄貴…お兄さん？ そんなわけないか。
それにしてもなんでここで来ちゃうかなぁ！
この人さえ来なければこのまま逃げられたのにさ。
「そのガキなんでいるんだ」
「ガキ同士で遊んでたら迷い込んだみたいです」
「…見張りはどうした」
「な、なんか『火事だ！』って大きいお兄さんたちが、あっちに走ってたの見たよ。入っちゃいけない所なの知らなくてごめんなさい…」
なるべく怯えた風に。人がいたのを知らなかったように振舞わなければいけない。
僕は今たまたま入ってきた場所に怖い人がいて怯えている少年だ。
それを演じなければ殺される。
「ボスの所に連れて行くぞ。ガキの言ってることが本当だとしても中を見られちまったからな」
「ぼ、僕何も言わないよ！」
「ガキのいうことなんか信じられるか。いいから来い！」
「いたっ」
手首を掴まれズルズル引きずられて行く。
見つかってしまったからにはこうなる事は分かっていた。仕方ない緊急プランだね。
ひとまず大人しく連れて行かれることにする。ボスの前までは安全に行けるってことだ。
こんな時のために髪の色も目の色も変えてきた。組織の人間は写真か何かで僕を見ているかもしれないけど実物は見ていないはず。
「ボス。ガキがアジトに入っていました」
「こっちに連れて来い」
「はい」
部屋の奥に踏ん反り返っている男。こいつがボスか。
そして___見つけた。
あの日父さんと母さんを直接殺したやつら。俺から大切な人を奪った。絶対に許せない。
でも、でもまだダメだ。完全に油断させて一撃で全員倒す。でなければ子供の僕に勝ち目はない。
「あ、あの…ごめんなさい。かくれんぼ楽しくて入っちゃって。もうしないからおうちに返して下さい」
少し涙を浮かべて、怯える子供を演じる。
演じてはいるけど怖いのは本当なんだ。だってこいつらは簡単に命を奪える武器を持ってる。僕よりも大きいし絶対に強い。
でも、僕には異能力がある。あの武器より強い力を持っている。こいつらに復讐する力がある。
「そうか、坊主！ 子供が遊ぶのはいいことだよなぁ！」
「…へ？」
ボスの椅子の前に強制的に座らされた僕の頭をガシガシと撫でた。
え、え？
近所の子供を撫でるような仕草に頭が追いつかない。大きな手がワシワシと乱暴に撫でる。鬘じゃなくて染めてきてよかった。
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でこぽん(プロフ) - ららさん、shikibuchan00さん、本当にありがとうございます！こんな更新遅い作品を応援してくださる読者の皆様は本当に神様です！頑張ります！！ (2020年8月19日 2時) (
レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
shikibuchan00(プロフ) - 何回も読み直すくらいには大好きです！！応援しています！ (2020年8月17日 22時) (レス) id: dc2c4f0c7f (このIDを非表示/違反報告)
らら - このシリーズ本当に好きです！応援してます！ (2020年8月8日 14時) (レス) id: 160b3d1fa3 (このIDを非表示/違反報告)
でこぽん(プロフ) - ありがとうございます！最近更新できてなくて申し訳ないですが頑張ってまいります！ (2020年1月23日 23時) (レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - すんごい面白いです！ひとつめの作品から読ませていただいてます悠里さんかっこいいですね好きです最近寒いですよね！！(困惑) (2019年12月15日 23時) (レス) id: 42869b6ef5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でこぽん | 作成日時：2019年7月5日 8時
