上司 ページ30
「ねーえー！紹介してよー！君の友達とやらをさ！」
「絶対やだ」
「なんでさ！？ あ！もしかして自称！？笑」
「『桐の花』太宰治」
「ちょっと！？ 私じゃなかったら燃えちゃうじゃない！？」
「燃えてないんだからいいだろうが。燃えろよ」
「ひどい！？」
人の周りを歩き回りどこまでも着いてくる太宰。こう言う話が通じない粘着質なやつは嫌いなんだ。
なぜこんな奴に目をつけられてしまったんだか。
「北原さん。例の件で調査が終わりました。こちらです」
「…ふーん」
「それから、首領がお呼びです」
「すぐ行く」
東雲から渡された調査結果を流し見しながら内容を頭に入れておく。ま、こんなもんか。
「太宰、お前はこんなところで油売ってないで銃の稽古でもしてきたらどうだ？」
「悠里が指導してくれるなら喜んで。手取り足取り頼むよ」
「…太宰殿、それならば私が見させていただきますよ…！」
右手を腰に、左手で俺の左手を持ち上げて厭らしく太宰が微笑む。こんな男社会のどこでそんな技術が必要なんだ。森さんすでに仕込んでるのか。
俺の手に太宰が接吻したあたりで東雲が無理矢理引き剥がしにかかった。
「じゃあ東雲よろしく。面倒になったら斎藤さんに投げつければいいから」
「はい！お任せください」
「えぇー。悠里行っちゃうのかい？ あんなに熱い時を私と過ごしたのに」
「知ってるか？ ご褒美は良い子にしかないんだ。じゃあな」
拗ねて意味分からんことを宣わっている太宰を置いて首領室に向かった。
＊＊＊
「首領、北原です。入室してよろしいでしょうか」
「入りたまえ」
見張りが扉を開けて中に入る。天鵞絨の感触が足に伝わり柔らかく体が沈んでいく。そして目の前の光景を見て辟易とした。
「…人を呼びつけといて何してやがる」
「あ、悠里くん！よくきたね！」
「ユーリ！助けて！リンタロウが気持ち悪いの！」
「お嬢、その幼女趣味野郎が気持ち悪いのはいつもの事ですよ。今燃やしますね」
「ちょっと！？ 私一応上司だからね…？」
「…だから？」
「ダメだ…悠里くんはこう言う子だった…」
上司というワードが俺にとって何か障害になると思っているのだろうか？おめでたい頭だ。
「『桐の花』、」
「ちょっと！ごめんって！真面目に話すから！ね！？」
「…次はないからな」
「勿論だとも！！」
ほっと肩を撫で下ろす森さんを見て情けなくなってくる。この人が組織の頭なのだから。…やる時にはやる人なんだけどなぁ。
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でこぽん(プロフ) - ららさん、shikibuchan00さん、本当にありがとうございます！こんな更新遅い作品を応援してくださる読者の皆様は本当に神様です！頑張ります！！ (2020年8月19日 2時) (
レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
shikibuchan00(プロフ) - 何回も読み直すくらいには大好きです！！応援しています！ (2020年8月17日 22時) (レス) id: dc2c4f0c7f (このIDを非表示/違反報告)
らら - このシリーズ本当に好きです！応援してます！ (2020年8月8日 14時) (レス) id: 160b3d1fa3 (このIDを非表示/違反報告)
でこぽん(プロフ) - ありがとうございます！最近更新できてなくて申し訳ないですが頑張ってまいります！ (2020年1月23日 23時) (レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - すんごい面白いです！ひとつめの作品から読ませていただいてます悠里さんかっこいいですね好きです最近寒いですよね！！(困惑) (2019年12月15日 23時) (レス) id: 42869b6ef5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でこぽん | 作成日時：2019年7月5日 8時
