教育 ページ27
「え〜？ 私天下の幹部長様じゃないからわからないのだけど」
「馬鹿にするのも茶化すのも勝手だが、相手は選んだ方がいいじゃないか？」
くるくる。
ポケットから取り出したナイフを指先で回し続け、太宰治に刃先が向いたところで照準を脳天に定め静止する。
「…やだなぁ、怒らないでよ。カルシウム足りてないんじゃない？ 牛乳飲む？」
「答えろ。上官命令だ」
サクッと俺の手から離れたナイフが太宰治の背後の壁に突き刺さる。
右側頭部の包帯の切れ目を切り裂いて。
頭に巻かれていた包帯がハラハラと落ちて、鳶色の双眼がこちらを見据える。
表面の笑顔とその奥の絶望。ああ、こいつも俺と一緒か。なんて瞬間にわかってしまった。
「組織の弱体化と海外組織って言う単語から連想して鎌かけただけ。___1人引っかかってたね」
やっぱり。
そんなあからさまじゃなかったけど、反応してるやつはいたな。
こいつからは鉄錆にまみれた汚泥の底のような臭いがする。
「…森さんに押し付けられて辟易したけど、思ったより使えそうだ」
「もう！ 悠里ったらひどいなぁ」
「触るな、馴れ馴れしい」
「え〜いいじゃないか」
肩を抱いてこようとするその手を払いのけて会議室を後にする。
外で待機していた東雲が軽く太宰治を睨みつけているのがわかった。
何か文句を言いたそうだが、俺が許可していないのと森さん直々のスカウトと言うのがあってか特に何も言ってこない。
「…どこまで着いてくるきだ？」
「どこまでも？」
「ふざけるな」
いつまでたっても別れる気のない奴にそう問いかけるとふざけた答えが。
何が悲しくてこんなうざい奴といつまでも一緒に行かなくちゃいけないんだ。
「君、僕の教育係なんでしょ？ 教育してよ
「…」
「太宰殿、少しおふざけが過ぎるのでは？」
「ねぇ、悠里。いいでしょ？」
教育、ねぇ…？
東雲が忠告に入るも太宰は完全無視。
むしろ抱きついてきたりしてうざったくなって来る。
東雲なんか青筋立てちゃってるし。
「何の教育をして欲しいのかわからないけど…いいよ。してあげるよ、教育」
「北原さん！」
「わーい。楽しみだなぁ」
東雲の制止の声は無視。
こいつには一回厳しくしとかないといけないと思ってたんだよ。
「その代わりさ」
「うん？」
抱きつかれた状態のまま太宰の顔に手を這わせる。ゆっくり。妖艶に。
「足腰立たなくなる覚悟、しといた方がいいよ？」
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でこぽん(プロフ) - ららさん、shikibuchan00さん、本当にありがとうございます！こんな更新遅い作品を応援してくださる読者の皆様は本当に神様です！頑張ります！！ (2020年8月19日 2時) (
レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
shikibuchan00(プロフ) - 何回も読み直すくらいには大好きです！！応援しています！ (2020年8月17日 22時) (レス) id: dc2c4f0c7f (このIDを非表示/違反報告)
らら - このシリーズ本当に好きです！応援してます！ (2020年8月8日 14時) (レス) id: 160b3d1fa3 (このIDを非表示/違反報告)
でこぽん(プロフ) - ありがとうございます！最近更新できてなくて申し訳ないですが頑張ってまいります！ (2020年1月23日 23時) (レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - すんごい面白いです！ひとつめの作品から読ませていただいてます悠里さんかっこいいですね好きです最近寒いですよね！！(困惑) (2019年12月15日 23時) (レス) id: 42869b6ef5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でこぽん | 作成日時：2019年7月5日 8時
