友人 ページ21
「全く、森さんも人遣いが荒いんだから。首領は『殺せ』しか言わないし」
「悠里、また任務か？」
「！ 作之助」
ブツブツと文句を垂れ流しながら頭の中で作戦書を作っていると声をかけられた。
俺よりも6歳年上の赤茶の髪の青年。
ポートマフィアの最下級構成員であり、この組織で不殺を貫く変わった人物だ。そして唯一とも言える友人である。
「森医師からの頼み事か？」
「大元は首領なんだけどね。森さんが上手く操ってるというか。たまには一緒にお茶でも飲もうか。今暇？」
「ああ。ちょうど俺も任務を終えてきたところだ」
それは良いタイミングだったかな。
喋りながら歩いているうちに壊滅部隊の作戦室に着いた。書斎はその奥にある。
扉を開けると、中に待機していた構成員が一斉に挨拶をしてきた。ちょっとうるさい。
「お疲れ。東雲、珈琲2つ持ってきてくれる？」
「畏まりました」
通りすがりに指示を出して作之助と2人、書斎に入る。
東雲は俺の直属の部下。俺が初めに部隊に誘った人物であり、秘書のような事をしてもらっている。
俺みたいな子供なんかに憧れていると公言している少しおかしな奴だ。
「ゆっくりしていってよ」
「俺なんかが飲み物をいれてもらって良いのだろうか？」
「俺といる時は『最下級構成員』じゃなくて『友人』なんだからいいんだよ」
「そういうものか」
「そういうものだよ」
長椅子に向かい合うように座って、そんな会話をする。
ああ、作之助だなぁと当たり前の事を考えながら。
「それで？今日の任務はなんだった？」
「今日は少し厄介でな。鈴木魚店で魚の盗難があったそうなんだ。その犯人探しを任された」
「ほぉ」
鈴木さんのとこはうちの傘下の商店街にある魚屋だな。
もっと食えと俺に魚を押し付けてくるお節介な親父がいる店だ。
「結論から言うと、そいつは猫だったんだ。お魚くわえたどら猫というわけだな」
「ぶっ！」
「北原さん！だ、大丈夫ですか！？」
「だ、大丈夫…ふっ。そこ、置いといて…ふはっ」
やばい、笑いがおさまらない。作之助が面白すぎる。
珈琲を持ってきた東雲が慌ててこちらに駆け寄ってきた。
「この猫がまた動ける奴でな。追い詰めるまでに苦労したんだ。やっと追いついた時には狭いビルの間に入ってしまった」
「取り逃したのか？」
「いや、捕まえるなら策はあったんだが…子供がいてな。その魚をあげていたから俺が料金を肩代わりして置いた」
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でこぽん(プロフ) - ららさん、shikibuchan00さん、本当にありがとうございます！こんな更新遅い作品を応援してくださる読者の皆様は本当に神様です！頑張ります！！ (2020年8月19日 2時) (
レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
shikibuchan00(プロフ) - 何回も読み直すくらいには大好きです！！応援しています！ (2020年8月17日 22時) (レス) id: dc2c4f0c7f (このIDを非表示/違反報告)
らら - このシリーズ本当に好きです！応援してます！ (2020年8月8日 14時) (レス) id: 160b3d1fa3 (このIDを非表示/違反報告)
でこぽん(プロフ) - ありがとうございます！最近更新できてなくて申し訳ないですが頑張ってまいります！ (2020年1月23日 23時) (レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - すんごい面白いです！ひとつめの作品から読ませていただいてます悠里さんかっこいいですね好きです最近寒いですよね！！(困惑) (2019年12月15日 23時) (レス) id: 42869b6ef5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でこぽん | 作成日時：2019年7月5日 8時
