警戒 ページ19
No side
「これはこれは…」
眼下に広がる光景を目にして、広津は絶句した。
なんと、まだ齢7つの子供がほぼナイフ一本で武装勢力と渡りあっている。
時たま爆発の異能を駆使して戦いやすくしているが、あくまで異能は支援。敵を仕留めているのは純粋に武器のみだ。
「…あの男は食えぬやつよのう」
同じように隣から見下ろしていた尾崎がぽつりと呟く。苦々しげに。
悠里をここに送り込んだ森。首領の専属医として2人も彼のことを知っていた。
飄々として掴み所のない男だ。
北原悠里という少年は爆弾そのものだ。ポートマフィアに益をもたらすか、それとも破滅させるのか。
どちらにもなる諸刃の剣。そして、それを上手く使えるのは森だけである。
森が非常に重要な手札を手に入れたということだ。
「おや、そろそろ終わりそうだな」
見渡すと立っている敵の数は大幅に減っている。このままいけば10分としないうちに片が着くだろう。
そう思っていたところに無線が入った。
『___もう終わります。そういえば殺した敵ってどうするんですか？』
「大体黒服が処理している。埋めるか、燃やすかだろうな」
『そうですか』
会話の内容もおよそ7歳には思えないが、驚愕すべきはその態度。
自分で殺した死体を見て嘔吐したと聞いていたがもはや勘違いでもしていたのか。そう思うほどであった。
そして、最後の1人が生き絶える。
『終わりました。敵組織の殲滅を確認。一応証拠として敵の顔写真を撮影しておきます』
「…ふん。気味の悪い小童よの」
尾崎が無線を切らずに吐き捨てた。少しの虚勢を込めて。
この子供と戦って、果たして自分は勝てるのだろうかと、その疑問がふと頭に浮かんできたからだ。
首領の命令では『怪しい動きがあれば殺せ』となっている。もしその時が来たら、果たしてどうなのだろうか？
___2人が悠里に対する警戒レベルを引き上げるのはこの後すぐのこと。
『終わりました。武器庫はここから北北東100米。北東の風のため、武器庫に被害は及ばないと判断します。___燃やしちゃっていいんですよね？」
「「___！？」」
いつのまにか、悠里は背後にいた。
2人は完全に気付くのが遅れた。本職の暗殺者なら殺せる程度に僅かな遅れだが。
「あ、ああ」
「では。【桐の花】眼下の死体」
一瞬の炸裂音。その後、死体があった範囲が炎の海に包まれた。
目を見開く尾崎と広津。
悠里はもう、その光景を見ていなかった。
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でこぽん(プロフ) - ららさん、shikibuchan00さん、本当にありがとうございます！こんな更新遅い作品を応援してくださる読者の皆様は本当に神様です！頑張ります！！ (2020年8月19日 2時) (
レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
shikibuchan00(プロフ) - 何回も読み直すくらいには大好きです！！応援しています！ (2020年8月17日 22時) (レス) id: dc2c4f0c7f (このIDを非表示/違反報告)
らら - このシリーズ本当に好きです！応援してます！ (2020年8月8日 14時) (レス) id: 160b3d1fa3 (このIDを非表示/違反報告)
でこぽん(プロフ) - ありがとうございます！最近更新できてなくて申し訳ないですが頑張ってまいります！ (2020年1月23日 23時) (レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - すんごい面白いです！ひとつめの作品から読ませていただいてます悠里さんかっこいいですね好きです最近寒いですよね！！(困惑) (2019年12月15日 23時) (レス) id: 42869b6ef5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でこぽん | 作成日時：2019年7月5日 8時
