発現 ページ2
No side
___北原悠里、6歳の冬。
悠里は幸せな家庭に生まれてすくすくと育っていった。
この時の冬は大寒波が到来し、外に出れば身の凍るような風が吹いていた。
「うう…寒いねぇ」
「まさかこんな時に
「お父さんとお母さんが抱きついてるから寒くないよ」
「「やっぱり天使」」
北原家では何年経っても変わらず親馬鹿が横行していた。
もはや悠里がなにを喋っても天使と言っている。
「僕あったかく出来るの知ってるよ！」
「お！ じゃあお願いしようかな！」
「うん！」
張り切って何か準備を始める悠里とそれを見守る2人。
毛布を持ってくるとか、温かい飲み物を持ってくるとかだろうか？
そんな暢気なことを考えていた___その時。
「木よ！ 燃えろ〜！」
バァァーーン！！
悠里の可愛い声にそぐわず、用意していた薪が弾け飛びそこかしこに散らばっていた。
「きゃぁー！」
「椎菜！ 悠里！」
薪の近くにいた悠里が風で吹き飛ばされ、必死の思いで長太郎が抱きとめる。そのまま2人を庇うように上から覆いかぶさった。
「お、おうち…」
「！？ 椎菜、悠里！早く出よう！ 椎菜立てる？」
「だ、大丈夫！」
長太郎が片手で悠里を抱え、もう一方の手で椎菜の手を引き家から飛び出す。
燃えた薪が引火して火の手が上がっていた。
消防を呼びたいが携帯電話は家の中。財布も置いてきてしまったのでお金もない。
「君たちはここにいて。僕は人を呼んでくるよ」
「分かったわ！」
長太郎が走って助けを呼びに行った。
悠里はずっと俯いたままだ。
「…悠里。お母さんにお顔見せてくれる？」
「…っ」
椎菜が呼びかけると、悠里は大きく肩を揺らしさらに俯いた。
椎菜が優しくその頭を撫でる。
それにつられたのか、悠里はゆっくり顔を上げた。大きな瞳に涙を浮かべて今にも泣きそうな顔だった。
「そんなに泣いてたらせっかくの可愛い顔が台無しだぞ！ 怪我は無かった？」
「…うん」
「よかったぁ！！」
がばっと椎菜が悠里に抱きつく。当の悠里は何が何だか分からないと行った感じだ。
それもそのはず。あんなことになって怒られる、嫌われると思っていたのだから。
「…怒ってないの？」
「怒ってないよ」
「…僕のこと…嫌いじゃない？」
「大好きだよ！！」
その後泣き疲れるまで大声で泣いて悠里はずっと謝っていた。
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でこぽん(プロフ) - ららさん、shikibuchan00さん、本当にありがとうございます！こんな更新遅い作品を応援してくださる読者の皆様は本当に神様です！頑張ります！！ (2020年8月19日 2時) (
レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
shikibuchan00(プロフ) - 何回も読み直すくらいには大好きです！！応援しています！ (2020年8月17日 22時) (レス) id: dc2c4f0c7f (このIDを非表示/違反報告)
らら - このシリーズ本当に好きです！応援してます！ (2020年8月8日 14時) (レス) id: 160b3d1fa3 (このIDを非表示/違反報告)
でこぽん(プロフ) - ありがとうございます！最近更新できてなくて申し訳ないですが頑張ってまいります！ (2020年1月23日 23時) (レス) id: 80518ccaaf (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - すんごい面白いです！ひとつめの作品から読ませていただいてます悠里さんかっこいいですね好きです最近寒いですよね！！(困惑) (2019年12月15日 23時) (レス) id: 42869b6ef5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でこぽん | 作成日時：2019年7月5日 8時
