base-決断-

最後の挨拶 ページ24

⚫︎純

決断から数日後

インフルエンザは無事完治し、球団を通して、メジャー挑戦を発表した。

ポスティング制度を利用して、約1ヶ月間の期間を経て、入団チームが決まった。

取材を受けたり、会見を開いてもらって喋っていると、

"ほんとにレッドスターズを離れるんだ"

という実感が沸いてきた。

緊張や不安は拭えないけど、渡米が近づくと覚悟はできてきた。

新しく入団するのは、new springsというチーム。

意味はそのままだが、『新しい春』

俺の状況にぴったりだな…なんて。

チーム名の由来としては、
『前の年が優勝であれどん底の状況であれ、また新しい春、新しいシーズンが始まる。
毎年を新たな気持ちで迎えること。』

ーーーーー

家族やお世話になった方々、高校の先生にも挨拶をしに行った。

久しぶりに高校に行くと、たくさんの先生方が迎えてくれた。
優しかった担任の英語の先生、顧問の先生、早退許可をくれなかった学年主任…(笑)

懐かしくなって、高校の部活の練習にも参加させてもらった。

部員のみんなは凄くキラキラしていて…プロに入って数年、俺が忘れかけていたような気持ちを思い出させてくれた。

笑顔で別れを告げるつもりだったけど、さすがに何度か、涙してしまう場面もあった。

名残惜しさは尽きないけど、これは俺が選んだ道。

挑戦のない人生なんて面白くない。

ーーーーー

そして迎えた出国の朝。

これから一時帰国することはあると思うが、引越しも完全にしてしまい、向こうのチームでの練習に参加する。

直前に帰省していたため、家族の見送りは断った。
実を言うと、親が泣くと俺ももらい泣きする気がしたから。(笑)

どうでも見送りに行くと言ってくれたタクと、空港に向かった。

最後の最後までくだらない話をしていたが、いよいよ出国の時。

立って歩こうとした瞬間。

　ギュッと服の裾をひっぱられた。
　
　「えっ、ちょ・・・」

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