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「ケアしてやろうと思ったのにな、こう見えても手先は器用なんだぜ、オイラはよ」



ぬらりと伸びる手。
行き先は耳もとから肩にしなだれる一房だ。

無論、Aがそれを捨て置くはずもない。すんでのところで手首を掴む。


「人の話を聞きなさい」


そのままへし折らんと捻じってみせる。手心はない。

いわば、少女の全力こそがマーダーにとっての手心なのだ。


「おいおい、別にやましいことなんて考えちゃいねぇよ、ちょっとした善意だろ」
「卑しい考え抜きでどうしてあんたが私に触れようとするの」


掴んだ手を下ろしながら淡紅の唇が毒を吐く。

不服そのものな表情に、マーダーはあるのかも分からない眉を残念そうに落とす。
視線もそれに追蹤する。

そうして目一杯の哀を表現してみるが、Aには顔いっぱいの凶相を歪めているようにしか見えなかった。


「あーあ、折角いいモンやろうと思ったのによ」


目線を上げないままに後ろ手に握ったものをひらめかせる。興を惹くつもりらしい。

しかしAはこれ見よがしの誘いになど目もくれず、身を返して小さく鼻を鳴らす。


「それとこれとが何の関係があるの」
「そいつはどうかな、俺はいらねぇけどお前さんならきっと喜んでくれるんじゃねぇか?」
「……いらない」


不要と云い捨てたAはマーダーから遠ざかろうとする。


「そうかい」

の→←闇



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カドル - アザラギさん» コメントありがとうございます!無駄に張り切って書いたのでそう言って頂けると嬉しいです。 (2019年11月13日 20時) (レス) id: 89d03497a6 (このIDを非表示/違反報告)
アザラギ - 雰囲気といい設定といい何もかも素敵です…不穏な仲もdusttaleの小説も少ないので是非ストーリー化してほしい…() (2019年11月13日 15時) (レス) id: fb28bd8d3e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カドル | 作成日時:2019年11月11日 14時

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