3話 ページ4
草むらからノソリと出てきた熊は、鋭い目つきで俺を睨んできた。
捕食者の目だ。
完全に俺を獲物として捉えている。
どうしようか。
こんな所で死ぬわけには行かない。
しかし、向こうも簡単には逃がしてくれないだろう。
考えてる間にも熊はジリジリと距離を詰めてくる。
それに比例してこちらも下がるが…
………
?!
痛てっ
「グガァァアアア!」
やばい、枝に引っかかって転んでしまった。
チャンスと踏んだ熊も腕を振り下ろしてきてる。
うわっ!
…せぇーふ。
咄嗟に高速でんぐり返しでその場を離れる。
危なかった、死ぬかと思った。
けど、次は避けられないだろう。
さっきより目に殺意が入った熊が、口を大きく開ける。
「…グルル」
こう見ると、確かに熊は大きい。
俺の体が小さくなったからとはいえ、この熊は普通のサイズ以上の奴だ。
逃げ切れるだろうか?
生きてこの森を出れるだろうか?
…つい、苦笑いを浮かべてしまう。
太い木の枝を拾い、熊に向けて構える。
とにかく、1つ傷を負わせろ。
小さな傷でもいい。逃げる隙をつくれ。
それが、今。生きる術だ。
脳がヒヤリと冷たくなった気がした。
「ガァァアアア!!」
怖気付いてしまうのは一瞬だ。
手に力をいれ、真っ直ぐ熊に向ける。
刺されば上出来。
さぁ、こい。
お前より怖いのは
死ぬ事だ。
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作者名:Roji | 作成日時:2017年9月17日 13時