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*_ 泰綺 side
───────病院、待合室。
俺の隣で寝息を立てて眠る、A。
あの後、俺はAを抱え、
タクシーで県病院に走った。
看護婦「あ、工藤くんのお友達?」
泰綺「……はい。」
看護婦「工藤くん、容態落ち着いたから、顔だしても大丈夫よ。207号室ね。」
泰綺「あー……ありがとうございます、」
ただ待ってるだけでもあれだし、
Aが起きたらずっと2人で話してるだろうし。
行くだけ行ってみるか。
.
.
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────────ガララ…
泰綺「ハル…。」
工藤「……泰綺?」
泰綺「……うん、」
ベッドに横たわるハルは、酸素マスクを付けられ、
いろいろな管が身体中にはりつけられていた。
泰綺「……お前、大丈夫なの?」
工藤「なに〜(笑)泰綺、心配してくれてんの?」
泰綺「…あったりまえだろ!!!?」
工藤「……珍しーね(笑)」
ハルは、笑っていた。
ほんとにこいつは、死ぬんだろうか。
目が垂れる、優しい笑い方だった。
泰綺「お前、そろそろ言うべきなんじゃないか?Aに。」
工藤「……Aには……軽い肺炎だって言っとく。」
泰綺「…なんで、そんな……隠すんだよ。」
工藤「Aに教えたら、きっと僕のこと心配して、想像以上に無理するでしょ…(笑)」
いつだって、人の事ばっかり。
余命宣告から2ヶ月が経って、
残り4ヶ月で尽きてしまう命だというのに。
自分の体がもう限界を迎えそうだって、
わかってるはずなのに、こんなになっても、
笑ってられるって……どんだけ優しいんだよ。
泰綺「お前、強がってんだろ。
ほんとは、死ぬのが怖くて、ビクビクして。
もし病気のこと、Aに知られて、
Aが離れて行ったら……それが怖いんだろ?」
工藤「………うん、怖いよ
いつ死ぬかわからない。もしこのことを
Aが知って、嫌われたらどうしようって。
怖くて、不安に押しつぶされそうだよ……」
そう答えたハルは、泣いていた。
俺が見た、最初で最後の涙だった。
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なな - すごく感動しました…!とっても素晴らしい作品と出逢えました!! (2021年8月12日 12時) (レス) id: 7dd4753f69 (このIDを非表示/違反報告)
紗那(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました…!大好きな人の名前を入れて読みましたが、人柄が似ていて泣けました…!!最高の作品をありがとうございます! (2020年2月16日 0時) (レス) id: a5ce07c098 (このIDを非表示/違反報告)
咲久 - 感動ですっ! 涙出てくるぐらい感動しました。素晴らしい作品をありがとうございます。 この話が読めて、本当に良かったです。 (2019年10月27日 15時) (レス) id: 7ec252dae0 (このIDを非表示/違反報告)
うゆゆ。(プロフ) - 苺さん» そんなふうに言って頂けて、すごく嬉しいです!ありがとうございます!!! (2018年11月23日 19時) (レス) id: 0681083c4f (このIDを非表示/違反報告)
苺 - 涙が止まりませんでした泣うっかり好きな先輩の名前で設定してしまい、その先輩と小説の先輩がそっくりだったので、ずっと泣いてました。感動です。素晴らしい作品をありがとうございます。わたしもこんなのが書けるようになりたいな!←絶対無理 (2018年11月21日 20時) (レス) id: 26ec7aacd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うゆゆ。 | 作成日時:2018年8月27日 11時