拾われた女Ⅲ (ページ38)

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…そして、裏切り者の2人が暴かれ、その内の1人である骨喰さんは追放される事となった。

つまり骨喰さんは最下位となり、この選挙戦からも敗退する事になる。

ミラ「…皇。貴様、最初から読んでいたのか？」

骨喰さんは下を俯き、低い声で聞く。

ミラ「誰かが企みに気付き、貴様ではなく私を追放すると…！」

伊月「すいません、そういうギャンブルでしたので！」

だが、伊月は悪びれる事もなく笑って返した。

…その時。

__________ガッ！！！

伊月「ッ！？」

…骨喰さんが目にも止まらぬ動きで伊月の首を掴み、壁に追いやる。今にも伊月に暴力を振るってしまいそうだ。

『！！！』

楓「皇ッ！！！」

一気に背筋が凍っていく。

こ、これはマズいんじゃ……！？

そう思い、私は止めに入ろうとするも、隣にいる定楽乃さんに制止される。

定楽乃「…A、出る必要はない」

『え…で、でも……』

…そのまま、骨喰さんは伊月に思いっきり手を振り上げ———————

る事はなく、壁にそっと手を付いた。

『…？』

骨喰さんは静かに話し出す。

ミラ「…骨喰の稼業は＂掃除＂。一族の不純物を排除する暴力装置だ。元々謀事は専門外…

とはいえ、まんまと騙されたよ。見事だ」

伊月「ハハ…ど…どうも…」

引き攣った笑みで返す伊月に、骨喰さんが顔を近付ける。

そして、更に声を潜めて聞いた。

ミラ「…お前、あのメガネが好きなのか？」

『…えっ』

伊月「はあぁぁぁっ！？」

骨喰さんの質問に、伊月と私は顔が赤くなる。

(あ、あらあら……)

　

あんなに離れた場所にいるし、皆には聞こえていないようだが……私は聞き取れてしまうのだ。

ご、ごめんなさい……伊月…骨喰さん…

こういう時ばかりは自分の聴覚を恨みたくなる…

…でも、分かった。

伊月にとってこのギャンブルは、豆生田さんを再生させる為のものでもあったのかもしれない。