拾われた女Ⅲ (ページ31)

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ミラ「落ち着け茨」

骨喰さんが話し出す。

ミラ「恐らく蛇喰夢子の言いたいことはこうだろう。

2人の裏切り者は協力している」

茨「はぁ？」

ミラ「既に裏切り者が出ている状況で、更に裏切るのは賢明ではない。

全体の銀貨が減り、全員負けの危険が増すからだ。

…しかし、協力しているなら話は別。

然るべき時に裏切り、然るべき時に納税すれば全体の銀貨の数を適切に操れる。

裏切り者が複数人いる現状、私達が更に裏切る事は難しい」

…ふむふむ、なるほど。

確かに、今まで銀貨の動きはどこかおかしかった。

裏切り者は夢子の策を回避し、同時に納税に切り替えていた。…こんな事、共謀しなければ不可能だ。

これは裏切り者にとってほとんど必勝の策。対抗するなら「追放」を盾にするしかない。

伊月「…だったら、裏切り者は貴方達なんじゃないですか！？

協力するには信頼が不可欠…同じ一族である貴方達が1番怪しいんですよ！」

茨「協力なんていつすんだよ。ギャンブルの内容なんてここに来て初めて知ったんだぜ？」

　
…恐らく茨の発言に嘘はない。そもそも、嘘をついているのならもっと態度に出ると思う。

伊月「本当に初めてなんですかね！？等々喰さんとあらかじめ口裏を合わせてたんじゃないですか！？」

茨「定楽乃とだぁ？んな事この俺がするかよ！」

…伊月達が再び言い争い初めてしまった。

…今、この場に必要なのはきっと言い争いではなく決断だ。けれど、不公平感に苛まれている伊月達はそれに気付けないのだ。

にしても、困ったな…このままでは本当に埒が開かない。

まずは裏切り者を特定しないと…でもどうすればいい？

…参加者でもないのに、まるで自分の事のように考え詰めてしまうのは悪い癖だ。

伊月「あー！もういいです！話にならない！

豆生田先輩、何か意見はないんですか？

貴方ならきっと_______」

楓「いい加減うるさいぞ、皇。俺に構うな」

豆生田さんに突き返された伊月は悲しそうに俯く。

…だが

楓「だが、客観的な意見は言ってやろう。状況から判断して、裏切り者は………

蛇喰夢子だ」