拾われた女Ⅲ (ページ4)

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両者がマカロンに手を伸ばす。

『…！』

淑光の方は躊躇いもなくマカロンを口にした。そして何食わぬ顔で咀嚼していく。

司会「名足さんは平然と食べているように見えますねぇ…
これは我慢できないと思うんですが……

一方、ユメミちゃんはどうでしょう？」

……さて、夢見弖さんを観察してみよう。

こういう時は咀嚼の仕方や瞳孔を観察するのが良いが…

ユメミ「………ッ……グ、ゥッ……」

………どうやらその必要も無さそうだ。

司会「あちゃー！ユメミちゃん、やっちゃったか？」

　

夢見弖さんは苦しそうに俯いている。

…これは……演技？

『…………』

……いや、違う…

あの指(・・・)____________。

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…そして、2人はマカロンを食べ終えた。

るな「それじゃあ、答え合わせ！まずはAちゃんから！」

私からか。

…でも、答えはもう決まっている。

私はふぅ、と一息吐き、口を開いた。

『では、結論から申します。

______Bの皿。それがデスマカロンですね？』

ユメミ「！？」

るな「せいかーい！答えはBの皿だー！」

『ふぅ…』

…やっぱりね。

演技力対決で身構えてはいたが、思った以上に当てやすかったな。

ユメミ「…な、なんで……？」

夢見弖さんが冷や汗を浮かべながら聞いてくる。

『そうですね…夢見弖さんの反応を観察していれば一目瞭然でした。

そもそも、味覚というのは反応ではなく＂反射＂で起こされるものです。

辛みを我慢する事は、反射を我慢する事。

なら誤魔化すしかないけれど、なかなか出来る事ではありません。

だから貴方は…痛みという反射で覆い隠した。そして、反射速度が1番大きかったのはAの皿。そうですよね』

私は夢見弖さんの手を取る。

『…夢見弖さんの覚悟には驚きました。

何故なら、あの表情を見せる為だけに指を折ったのですから』

観客が騒ついた。

…それにしても、痛そうだ。

きっと力任せに折ってしまったんだろう。指の曲がり方が歪だ。

(でも……)

これが夢見弖さんの覚悟の現れなのかもしれない