拾われた女Ⅲ (ページ13)

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93.__公共財ゲームページ13

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ある日の放課後。

私は凜との仕事も終え、寮に戻ろうとしている最中だった。

『…ん？』

………あそこの部屋にいるの…伊月？

しかも何か難しそうな顔をして悩んでいるようだ。

…少しだけ、聞いてみるか。

『伊月？』

私が後ろから声をかけると、伊月はハッとした表情で振り返った。

伊月「え、A先輩…！？どうしてここに…」

『この部屋を通りかかったら偶然貴方を見かけてね。

…ここで何をしてたの？』

伊月「あー……いや……その…」

伊月の目が気まずそうに泳ぐ。

だが、その視線の先にあったのは、手に握られたナイフとリンゴだった。

『…もしかして…リンゴの皮剥きを？』

伊月「は、はい……

実は、医務室でずっと入院してる先輩がいまして……お見舞いついでに持って行こうと思ったんです。

でも、料理はおろか皮剥きもした事がなくて…ハハ…」

伊月は「食事はいつも実家の料理人が出していたので」と付け加えた。

…流石、百花王学園の生徒だけあって、かなりのお金持ちのようだ。

『…なるほど。

あの、私でよかったら教えましょうか』

　

伊月「えっ！？」

これでも料理はできる方だ。レイの腕には敵わないけど…