30話 ページ34
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結局、仕事を休んでも体が休まる事はなかった。
むしろ悪化する一方で、昨晩は全然眠る事が出来なかった。
うっすらと隈を作ってしまったせいか、シスロとバーバラに心配された。
また今日も仕事を休んだ。
今はただする事がなくて、自室のベッドに寝転がってしまっている。
(……こんなに怠かったっけ…)
熱はないはずだと考えても身体は重くて、何をするのも億劫だ。
何もしてないのに、なんだか心身共に疲労していて
溜め息ばかりをついていた。
『……っ!ごほっ、ごほっ……』
(…マズイ、発作が……)
…最近発作の頻度も高くなってきた。
症状も重くなる一方。発作を完治する薬なんて出来ている筈がなかった。
私に残された時間も少ないだろう。
アダムの遺伝子から薬が作られるが先か、その前に私が死ぬか。
(………怖い)
体が小さく震える。
薬をなんとか飲み込んで、発作の症状は引いていったが心はずっと落ち着きを保てずにいた。
…Λで変に生きながらえたせいで、私は生に執着するようになった。
自分でも引くくらいに死ぬのを恐れていて、そのくせ自分から行動は起こそうとしない。
……卑怯者だ。
─────────コンコン
ノック?こんなところに誰が……
怠い体に鞭を打ってドアを開ける。
「あ、あの!こんにちは!」
『………エマ?』
…今1番会いたくない人が来た。
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作者名:サナ | 作成日時:2020年9月22日 17時