？？話 ページ32
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夕日が沈みかけている空を眺めながら、愛しい人の手を握る。
もう片方の手には、食材が入った袋を提げていた。
「��お姉ちゃん！��今日の晩ご飯なあに？」
『今日はね、───の好きなオムライスだよ』
「え？やったあ！」
…私の親はいわゆるネグレクトという奴で、私達はずっと苦しい生活を送っていた。
でも妹は小学生でまだまだ幼い。
だから私が育てようと、料理も掃除も、洗濯も…いろいろと習得した。
お金は無かったからバイトをしていた。
………時には親から渡してくることもあった。
母はお金を渡すだけで、私達の事は何もしてくれていなかった。
それでも、妹と力を合わせて頑張ってきた。
……だが、そんな日々はいとも簡単に崩れ去った。
街中を、フラフラした状態で走行していたトラックに轢かれた。
妹が車道側に立っていたのを、私が庇ったのだ。
おかげで妹は無傷で済んだが、私はもう手遅れなぐらいに傷を負った。
ドクドクと頭から血が出るのを感じる。身体のあちこちには深い傷をいくつも出来ているのが見えた。
ぼんやりとしていく意識の中で考える。
妹は…どうなるんだろう。もし私が手放せば、妹が生きられる術が無くなってしまう。
ああ、なんであんな両親の元にあの子までが生まれてしまったんだろう。
そう考えていても、瞼は容赦なく重くなっていく。
狭くなっていく視界には、僅かに妹が泣きじゃくる姿が見えた。
遊園地、一緒にいく約束破っちゃった。
2人で美味しいものを食べようって決めたこともあったよね。
可愛い服を買ったり、綺麗なイルミネーションを見に行ったり……
それから、それから………ああ、たくさんある。でも、頭がやられたせいか思考がまとまらない……。
思えば、私と妹は常に約束で結ばれていたのだ。
───────ああ、ごめんなさい。
貴方だけは幸せにしてあげたかったのにな。
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それから、目を覚ますとGRハウスにいた。
「Aっ！一緒に遊ぼ！」
お日様のように笑いながら、手を差し伸べてくる幼いバーバラは、あの妹と重なったのだ。
……それで私は少し救われたのだ。
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作者名：サナ | 作成日時：2020年9月22日 17時
