2話 ページ4
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そもそもなぜ私が転生したのかは、簡単に言えば【事故死】である。
よくあるトラ転でこの世界に召喚されてしまった。
でも所詮私はモブ。
変に介入して原作を改変するのも気が引けるので、大人しく出荷されて原作通りに行ってもらおうとしたのに。
……何故かエマと見た目がそっくりだったのだ。あのおなじみの触覚も気付けば生えていたし、
完全にエマとDNAが一致していると言っても過言ではない。
もう原作にはいないものが介入してしまった。
………本当、なんでこんな事になってしまったんだかと溜め息をつくしかない。
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『ハァ〜…………』
食堂でため息をついていると、ふと誰かと肩がぶつかった。
『あっ、すみません』
「………。」
女の子は無言でこくりと頷くと、料理を取りに厨房の方へ行ってしまった。
栗毛で片目を覆うような三つ編み……
ああ、アイシェか。
確か大切な父親を殺されてノーマン達に恨みを持ってるんだっけか?
まぁバーバラ達はそんなことは考えもしてないだろうけど…
でも…
『………かわいそうになぁ』
「!!」
育ちが違うとこうも簡単に亀裂を生み出すのか。
復讐、されるのはこちらとしては複雑だけど…
シスロやバーバラにも何度か助けられてるし。
あと幼馴染みだし。
「Aー!!!」
『いたっ!?!?』
ふと後ろから重いきし抱きつかれた。
…今のバーバラ、Λを出たせいか力強くなってるな…
「…あれ?Aまだ食べてなかったの?」
『バーバラ?準備早いね。もう取りに行こうか』
「うん!!」
もう考えても仕方がない。
原作を改変しないように気を付けていれば平穏なのだ。
とりあえずご飯食べよ…………。
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……ボソッと呟いたさっきの一言が、アイシェ本人に拾われてるとは知らずにいた呑気な私はせっせと朝食を取った。
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作者名:サナ | 作成日時:2020年9月22日 17時