25話 ページ28
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部屋がシン、と静まり返る
声のした方を見ると……Aさんがいた。
ドクンッ、と心臓が高鳴る。
「A…」
さっきまで強く憤慨していたバーバラが、Aさんを見るなり悲しそうに目を緩めた。
ゾワッとくるような殺意や怒気は、あっという間になりを潜めてしまった。
Aさんはというと、テーブルの上に乗ったままのバーバラの腕を掴んでいる。
…まるで降ろすかのように。
『バーバラ、アジトが壊れるよ。降りて』
「…分かった………」
特に慰めるわけでもなかったのに、バーバラはシュンとしてテーブルから降りた。
それをAさんは小さく溜息を吐いたが、すぐに笑みを浮かべた。
そして…その顔は私達に向けられた。
『バーバラがごめんね。ちょっと取り乱しただけだから、怖がらないであげて』
「あ、は、はい………!」
少し声を聞くだけで、なんだか心が落ち着いていく。
さっきまで私を取り巻いていた恐怖が、風に吹かれたように飛んでいった。
そして、その綺麗な笑みはユウゴとルーカスのような包容感があるのだ。
……バーバラとシスロが、Aさんを好き…いや、
「…エマ、ノーマンもいないしここを出るぞ」
レイが隣でこっそりと話しかけてくる。
私はそれに頷いた。
「う、うん!…あの、ありがとうございました!
失礼します!」
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Aさん……あまり関わったわけじゃないけど…すごく惹かれる…
でも、でも…どうして…?
なんで、そんなに目が悲しそうなの…?
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……
ここから夢主が病んでいく?かもしれません…
苦手な方は気を付けてくださいね…
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作者名:サナ | 作成日時:2020年9月22日 17時