17話 ページ20
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「あ、Aさん！大丈夫ですか！？」
『うん、大丈夫。むしろ仕事すっぽかしてしまって
ごめんね。…何か困ったことなかったかな』
「いえ！代わりにヴィンセントさんがやってくれたので特に問題なく出来ましたよ！」
『……ヴィンセントが？そっか、ならよかった』
……なんだ、私がいる必要はないんじゃないか。
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その日は思ったよりも早く来た。
やっと仕事に復帰し、いつものように書類を確認していると廊下から騒ぎ声が立ち始めた。
その声の大半は「ボス！？」と発しており、私は頭を抱えた。
……ついに来たんだな。脱走者…
もといエマ達主要人物が。
こっそり廊下に出て見に行ってみると、確かにノーマンを筆頭にしてエマ達が移動してきていた。
多分、使う部屋まで案内してくれているんだろうな。
子供達に紛れてチラチラとエマ達を見ていると、
ふと誰かとバチッと視線が合った。
(…………��レイ��ッ…！！！ああ、ミスった…ッ…！！)
黒髪で、片目を隠すぐらいに前髪が長い人なんてレイしかいない。
「………は？」
レイは目を見開いて私を見つめたかと思うと、またすぐに目を逸らした。
私は逃げるように部屋に戻った。
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ああ、こんな事せずに大人しく部屋にいるべきだった。自分の行動に舌打ちしたくなる。
レイは幼児期健忘の事もあって、記憶力は抜群にいいらしい。
私の事も覚えられたら困るが、今日は長い脱走生活の末で疲れてそれどころじゃないだろう。
何より思いもしなかったノーマンとの再会を果たしたのだ。
きっと私の事なんて、隅にもない…はず。
それにこれからいろいろ忙しくなるだろうし、
そっちはそっちで楽しくやっていてくれたらいい。
私も助かるよ。
『…フフッ』
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作者名：サナ | 作成日時：2020年9月22日 17時
