【うた☆プリ】冷めない熱で溶かして【神宮寺レン】

＊提案 −八雲side− ページ23

俺の双子の姉さん、睦月 A。
早乙女学園でいじめにあって、挙句の果てに事故に遭わされて、記憶が消えてしまった。
“ある人”からそう聞いて、久しぶりに帰国してみたっすけど、まあ予想通り、別人っすね。
現状的に深刻だって証拠なんすかね？

だけど、今回俺は姉さんを労りに来たんじゃない。
思いっきり嗤ってやるために来た。
正直実の姉にこういうこと言うのは気乗りしないっすけど、こっちにも“事情”があるんっすよ。
そう思って俺は、思いつく限りの悪口を姉さんにぶつけた。

思いのほか効果は抜群だったようで、姉さんは聞きたくないと言わんばかりに耳を塞ぎ、何かに怯えるように震えていた。


レン「そのくらいにしてもらおうか」


隣で黙って話を聞いていた、確か、学園時代の姉さんのパートナー、神宮寺 レンが割って入ってきた。
そろそろなんか言い出すとは思ってたっすよ。
そう思いながら、俺はこいつにも悪態をつく。


八雲「パートナーなのになんにも知らなかったくせに何かっこつけちゃってんの？それとも何っすか？女性をとことん甘やかすキザ男スタイルっすか？うっわくっせぇ。あんたがそんなだから、こいつがこんなダメダメ人間になっちゃうんっすよ」

レン「……随分と言ってくれるじゃないか」


煽りに煽った結果、神宮寺 レンの目つきがより一層鋭くなった。
今にも掴みかかって来そうな勢いにちょっとやりすぎたかと思ったその時、姉さんはそいつの服の裾を掴んで、制止をかけた。
まるで、何も言うなというように、震えながら……

……ここまで煽っときゃもう充分でしょ。
挑発に乗せるくらいの怒りは買ってやったんすから。

ここまで煽って俺は、ようやく“本題”を告げることにした。
“本題”に至るまでのこの“仕事”、ほんっと気分悪いっすね。

ほんとに“あの人”は、こういう仕事させるの好きなんすから……
胸糞わりぃな……

そう思いながらも、こいつにそれを悟られないよう隠しながら、俺はこう告げた。


八雲「そこまで言うんだったら勝負してみるっすか？あんたと俺で」




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