【うた☆プリ】冷めない熱で溶かして【神宮寺レン】

＊勝負 ページ14

ーーートンッ


A「当たった」

レン「お見事。しかもど真ん中」


Aの飲み込みの早さは驚くほどで、ほんの少し教えただけでもう上手くなっていた。
まだ数えるほどしか投げていないのに、もう真ん中に当てるなんて。

当てられるようになると楽しいようで、子供のように目を輝かせながら投げている。
この様子なら……


レン「レディ。かなり上手くなったんだし、勝負してみるかい？」

A「勝負？」


そう言って、俺はダーツ版の方へ行き、ボタンを操作する。
そして、ダーツ版の上のモニターに“250”という文字が二つ表示された。


レン「ただ投げてばかりいても、飽きちゃうだろう？３本ずつ交互に投げ合って、先にあの数字が“0”になったほうの勝ち。どうだい？」


ルールを聞いて、Aは少しの間モニターをじっと見つめた後、俺の方に視線を戻して、こう言った。


A「いいよ？私、負けないから」


挑戦的なその笑顔が、学生時代の……記憶をなくす前のAと、一瞬だけ重なって見えた。
それと同時に、少しだけ胸の奥がチクリと痛んだ。


A「先攻後攻は？」

レン「レディから先にどうぞ？レディファーストって言うだろう？」

A「そういうのクサイ。でも……先にやれって言うなら、やる」


キツい言葉を話していても、早くやりたい気持ちの現れなのか、矢を握りしめて少し恥ずかしそうにそう言うA。

可愛いね。
本人に言うと怒っちゃうけど。

そうして、Aが先攻、俺が後攻で勝負は始まった。






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