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8話 ページ10

「はぁ…」

私は人知れずため息をついた

今は私の配属先である基地に向かう為に、1人列車に乗っている
朝で、ちょうど混みやすい時間帯なのかはたまた毎回こうなのか分からないが人口密度が凄い
夏だから列車内は熱気で溢れていた
服装も軍服を着ているため余計暑く感じる
乗客たちからも暑い、むさ苦しいなどの声が聞こえる
が、しかし私は1人黙々とフェリの事考えていた
何故、見送りに来てくれなかったのだろう
彼なら来てくれると思っていたのに
今日が私にとってフェリと菊さんとの最後の1日になったかもしれないのに・・・・・・まぁ、決して最後になんかさせないけれど、想いを伝えることすら出来ないままこの世を去るのは嫌だ

「私は高望みをし過ぎたのかもしれないな・・・・・・私は彼の恋人でなければ家族でもない。ましてや彼は国なんだし、何自惚れしてるんだろう・・・・・・嫌になっちゃう・・・・・・」

私は、自分に言い聞かせるようにそっと呟いた

私は気分を紛らわす為に窓の外を見た
この時窓際の席で良かったと頬を緩ませた

窓から見える景色は田園風景で、畑仕事をしている人達が居見えた
戦時中で、いつ爆撃されるか分からないのによく外で農作業できるな・・・・・・なんて、呑気なことを考えていた

列車はトンネルに入り、暫しの暗闇が自分の視界に入る
でも、案外トンネルも長くなかったみたいですぐに眩しいくらいの太陽の光が目に入る
その時、次の駅が見えてきた
名前が良く見えないから誰かに聞こうとした時、乗客たちが話していた声が耳に入ってきた

「あ、私が降りる駅はあの駅なんだね」

私は暑くて開けていた軍服の前ボタンを止め、立ち上がる
少ししかないが荷物を持ち、軍帽を深く被った

「・・・・・・菊さん、フェリ絶対生きて戻ってみせる。だから、貴方方も頑張ってくださいね」

Aの声は、ホームに降り立った人達の声と共にかき消された

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фата*(プロフ) - エリア51さん» コメントありがとうございます。少しばかりマニアックではないかと不安でしたが、その様なコメントを頂き嬉しいと共に安心致しました。更新頑張りますので、物語の終わりまで暫しお付き合い下されば光栄です。 (2017年1月23日 6時) (レス) id: aa5819e46f (このIDを非表示/違反報告)
エリア51(プロフ) - 10話や11話がとても細かく書き込まれていて、艦が好きな私はのめり込んでしまいました。とても素敵ですね。ご活躍応援しております。 (2017年1月22日 22時) (携帯から) (レス) id: ad264a6ef2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのあ。(プロフ) - 菊桜さん» 読んで下さり本当にありがとうございます!更新頑張りますね! (2016年6月2日 13時) (レス) id: aa5819e46f (このIDを非表示/違反報告)
菊桜 - とても言葉が綺麗だなぁと思いました。凄いですね、お疲れ様でした。これからも頑張って下さい。応援しています。 (2016年6月2日 6時) (レス) id: a6eb43f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのあ。(プロフ) - 成瀬さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2016年6月2日 4時) (レス) id: aa5819e46f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:фата* | 作成日時:2016年6月2日 3時

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