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15話 ページ17

海上特攻する為に集められた軍人、軍艦。
軍人の数は数え切れない程多く、軍艦は大和を含め10隻。
それを有賀艦長や他の少佐や中佐が指揮する。

「皆御國の為に全力で戦おう」

有賀艦長はそう告げると、敬礼をした。
私を含め皆はそれに答えるように敬礼した。
今から出航する。
昨日ロヴィーノさんから貰ったブレスレットを腕につけ、ポケットの手紙を触りながら考えた。
このブレスレットの色は私の目の様な色をしていた。きっとフェリが選んでくれたのだろう。
さて、これから長い航海の始まりだ。



航行中、甲板に有賀艦長が防寒コートも手袋もつけないで立っていた。
私は、恐る恐る訪ねた。

「あの、有賀艦長寒くないのでしょうか?」


「寒いが、少しばかり風を浴びたい気分でな」

私が話しかけたら、有賀艦長は私の方を向きニコリと笑って答えてくれた。

「失礼致しました。……愚問であり、無礼であるかと思われますが、艦長殿はこの戦争が終わる時、自分は生きていると思いますか?」

「そうだな……この戦艦大和は不沈艦と言われているが、燃料不足で主砲の訓練さえできない。それに、もう遺書は書いてきている。お国の為に死ねるのだ。これ程光栄に思うことはない。」

有賀艦長は、どこを見るでもなく悲しく空を見つめた。
覚悟は出来ているということなのだろう。
だが、噂に聞いていた人物像と大分印象が変わった。
この方が弱音を吐くなんて……そう思った。

「お前には、婿はいないのか?その歳ならもう嫁に嫁ぎに行く頃だろう。」

私は発言するのを躊躇ったが、この方なら……と、言葉を発した。

「私にはその様な方はいません。ですが、戦争が終わった時結婚するんです。私自身、この想いを伝えることはできませんでしたが、後悔はしていません。帰ればまた伝えることが出来るので。」

有賀艦長は“そうか、大切にしろよ”と微笑んで戻っていった。









『大和艦長拝命ス。死ニ場所ヲ得テ男子ノ本懐コレニ勝ルモノナシ』

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фата*(プロフ) - エリア51さん» コメントありがとうございます。少しばかりマニアックではないかと不安でしたが、その様なコメントを頂き嬉しいと共に安心致しました。更新頑張りますので、物語の終わりまで暫しお付き合い下されば光栄です。 (2017年1月23日 6時) (レス) id: aa5819e46f (このIDを非表示/違反報告)
エリア51(プロフ) - 10話や11話がとても細かく書き込まれていて、艦が好きな私はのめり込んでしまいました。とても素敵ですね。ご活躍応援しております。 (2017年1月22日 22時) (携帯から) (レス) id: ad264a6ef2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのあ。(プロフ) - 菊桜さん» 読んで下さり本当にありがとうございます!更新頑張りますね! (2016年6月2日 13時) (レス) id: aa5819e46f (このIDを非表示/違反報告)
菊桜 - とても言葉が綺麗だなぁと思いました。凄いですね、お疲れ様でした。これからも頑張って下さい。応援しています。 (2016年6月2日 6時) (レス) id: a6eb43f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆのあ。(プロフ) - 成瀬さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2016年6月2日 4時) (レス) id: aa5819e46f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:фата* | 作成日時:2016年6月2日 3時

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