ー意気地なしな俺はーヘタリア

12話 日本side ページ14

「はぁ……体のあちこちが痛いですね……」

開戦当初は優勢だったものの今では海軍陸軍共に負け続き、あちこちに爆弾を落とされ体もボロボロです。
こういう時にAさんが居てくれたらとても癒されるのですが……しかし、あの方も軍で頑張っているのですから、私が弱音を吐くわけにはいきません。

そろそろ夕飯の準備をしましょうか…こんなことを考えていると、玄関から引き戸を叩くような音が聞こえてきます。
こんな時間にどなたでしょうか。ドイツさんかイタリア君あたりでしょう。

私はよいしょっと呟きながら立ち上がると玄関へ向かった。

「今開けますよ」

そう言いながら扉を開いた
そこには、先程考えていた方が立っていた。

「あ、貴方は……Aさんですか？」

「はい！Aです。お久しぶりです、菊さん」

「言いたいことや聞きたいこと、沢山ありますが玄関で立ち話も何ですからお入り下さい」

私はAさんを客間に通し、お茶とお茶菓子を用意した

「私戦艦大和に乗ることになったんです、それで外出許可が出たから報告しに来たんです」

Aさんは嬉しそうに言った
この御時世人々は飢えをしのぐだけでも精一杯なのです
軍に所属しているAさんが戻ってきたとしても戦前みたいに暮らせる訳がない
分かっていたことであれどとても悲しく思った

「あの戦艦は国の象徴の様な艦です。私としても喜ばしいです」

私は微笑みながらそう言った
彼女は嬉しそうにしている反面不安等もある様で顔色が悪い

「顔色が悪いですが、どうかなさったのですか？」

「緊張していまして……憧れの戦艦に乗ることができるのはとても嬉しく思うのですが今の日本は負け続きでいつ戦前の様に暮らせるか検討もつきません。……あまり考えたくはありませんがいつ死んでもおかしくないのですから」


「そんな縁起でもないこと言わないで下さい。あの艦は不沈艦です。そう簡単には沈みませんよ。なので、安心して下さい。この戦争が終わればまた一緒に暮らせます。あともう少しの辛抱です」

私は彼女を安心させようと微笑みながら言った
するとAさんはそうですね、ありがとうございますと呟き立ち上がった

「長居してしまってすみません、そろそろ帰りますね。祖国と話せてとても安心しました。無事帰ってくるのでそれまで待っていてください」

それでは失礼しました、と言いながら駅まで走るAさんの背中を見ながらわたしは祈り続けた
どうか無事帰ってきますようにと。

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