殺したい ページ15
｢ごめん、私もうほんとに前みたいに戻りたくないの」
こんなこと結局は口先だけだった
だって今私はまた濱くんに抱きしめられているから。
このちょっと香るお酒の匂い
少しこうちゃんより分厚い胸元
｢ごめん、もう行かなきゃ」
こんな昼頃に坂道で私達は何をやっているんだろう。
もしこうちゃんの知り合いに見られたら
こうちゃんに見られたら。
また同じことの繰り返しなのに
私が濱くんから離れようとするとぎゅっと私を離さないように抱きしめ
「…あと５分だけ」
と言って私に深い口付けをした
こんな関係いつまでも続くなんて私は思っていない
ねぇこうちゃん、私濱くんと会うことでこうちゃんとじゃ満たされない1つが埋まってる気がするよ
それで私たち2人が上手くいくなら私はどうなってもどう言われてもいい
「家賃振り込んどいてくれたー？｣
｢あ忘れてた、ごめん」
「はぁ、A暇なんだからそれぐらいしといてよ」
冷蔵庫から缶ビールを取り出すこうちゃん
言ってることは当たってるはずなのに
なぜか私には憎たらしく見えた
「これ、Aちゃんにあげる」
｢指輪？」
「俺とお揃いの」
濱くんは顔を赤くし私の指にはめてくれて
｢ありがとう、かわいいー！」
「今度またあげるから楽しみにしといて」
これもまた私の1つの幸せ
ﾌﾞｰﾌﾞｰ。
｢はい、もしもし」
「あ、Aさん？今仕事探してるって言ってたよね？」
｢はい」
｢ねぇねぇこうちゃん、さっき知り合いの子から電話あってね、人手不足だから簡単な手伝いしないかって
｢有給も出るらしくてさ「何言ってんの？俺は就職しろって言ってんの」
｢うん、わかってる。だから断ったよ」
「またバイトとかされたらまじ呆れるわ
てーゆかさぁ、本気で仕事探してる？｣
｢探してるよ。明後日面接だし」
「それでまた落ちて諦めてそのバイトで働くとか言わないでよ？どうせ給料低いんでしょ？｣
『そんなこと「いやいつも1回だけとか言って勝手に決めてくんじゃん。あ、てか次落ちたら風とかで働けば？笑」
「A上手いしちょうどいいじゃん笑」
テレビを見て笑いながら言ったこうちゃんが憎ったらしく殺したかった。
私をいつまでも下に見てるのがよくわかった気がした
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作者名：(^^) | 作成日時：2023年2月11日 0時
