京極さん ページ19
「おーい」
「···」
「くーるま」
「··あ、はい、すいません、ぼっーとしてました」
「Aさん？」
「え」
「やっぱりな、バレバレやで」
「··別に京極さんにはバレてもいいです、相方とかにはまずいですけど」
「バレとるかもよ」
「はいはい」
「くるまってそんな一途やっけ？」
「なんでですか｣
「Aさんおらんなってから３年も経っとるんやで」
「そろそろ新しい恋に行ってもいいんちゃう」
京極さんは残り少ないビールをごくりと鳴らしながら流し込んだ
そっか、もう3年も、さすがにみんな引いてる？
先輩の彼女に手を出して宣戦布告をして捨てられてって
ダサすぎるよなぁ··。
Aさんは、今、どこで、何をしてるんだろ
あんなに一緒にいたのに何を考えてるか分からないままだった
笑顔になったと思えばたまに暗い顔になる
Aさんはあまり自分のことを話さない、俺にばっか話させて···っていうか俺がおしゃべりさんなだけか
たまに自分のことを話したと思えばよく分からないことを話して、どうにも掴めなかったAさんのことが。
「よー先輩の彼女に手出したよな」
「最初は知らなかったんですってば、後になって言われたんです」
「でも結果的には手出しとるやん、言われてからも関係続けたんやろ？」
「まぁ」
「しかもお前から声掛けて」
「道端で見かけたんやっけ？」
「しゅんさんが教えてくれたんです、それで俺いてもいられなくなって、」
「お前度胸あるよな」
「好きな女のためならなんだって出来るのって案外普通じゃないから」
「俺は絶対出来ん、先輩の彼女って分かった途端離れるわ」
いや、それが普通なんです。
京極さん
こんな男世間から見たら異常なんです
有り得ない。
漫画でしか許されない展開
「Aさんかわいかったんもなぁ、そりゃ本気になれるわ」
「···」
「頑張れよ、お前」
「俺はずっと味方でおるから」
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作者名：(^^) | 作成日時：2024年1月11日 2時
