第32話 ページ35
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『椅子はステージの下に引き出し部分が…』
「ん？」
場所の説明をしながら黒尾さんの手元を見ると、椅子を５脚も持っていた。
今日の練習試合で使用した椅子はぜんぶで８脚。残りの３脚は不良プリン君が持っていた。
…いやいやいや、だったら普通４脚ずつとかじゃないの？やっぱあれか、不良だからか。
「Aちゃん？」
『…あ、はい』
「なんか今失礼なこと考えてただろ」
『失礼なことっていうか…
あの人、２年ですよね？先輩にこんな持たせていいのかな、と』
烏野は学年を超えて仲が良いが、先輩を敬うというか、基本準備やら片づけやらは１．２年生が率先していつもやってるから少しだけ違和感を覚えた。
かといって他校のことに首を突っ込むのもあれなので、プリン君には聞こえないよう小声で話す。
「…クロが持つって言ったから」
『！』
黒尾さんにしか聞こえないように喋ったつもりが、どうやら聞こえてしまっていたらしい。
なんていうか、音駒はだいぶフランクな学校なのかな？
「あー、俺ら幼馴染なんだ。だからまあ、気にしないでやってくれ」
『なるほど…』
気心知れた仲ならその軽いノリも理解できる。
じゃあ手伝いますよ。と、黒尾さんの持っている椅子を少し手伝おうと手を差し出したら、わざわざ椅子を置いて私の手を握ってきたので思わずビンタしそうになった。
『……。』
「うお、…物騒な右手だこと」
『…椅子はこっちです』
これ以上相手していられないので、とりあえず黒尾さんが持っていたうち２脚を持ってプリン君のもとへ。黒尾さんは無視だ。
…一瞬、黒尾さんの手が伸びてきたとき。
一昨日のあの出来事がフラッシュバックして、思考が停止しかけた。
『……何ビビってんだ、私』
少し早歩きで、プリン君よりも前を歩いているからこんなつぶやきは誰にも拾われない。
気を引き締めるために深呼吸をしつつ、パイプ椅子がしまわれている引き出しを開けて片付けていく。
「ねえ、大丈夫？」
『…ほんとに、よく見てますね。大丈夫ですよ』
独り言が聞こえていたのか私の様子から察したのか分からないが、プリン君が目を逸らしたまま尋ねてきた。
敬語とか遠慮とかいいから。と端的に言われたため、敬語も外して自己紹介もしてみたら、案外彼とは馬が合うようで。このあと孤爪とLINE交換した。
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ふぃる(プロフ) - あかねさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しいお言葉…！！のんびり更新ですが、これからもどうかよろしくお願いいたします(^^) (2020年3月12日 13時) (
レス) id: 57a4697fd9 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - めっちゃ好きです。このお話読んでふぃるさんのファンになりました笑これからも応援してます！！ (2020年3月2日 8時) (レス) id: 012863f737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふぃる | 作成日時：2020年2月7日 11時
