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夜の闇
刺すように冷たい風
つんざく爆音
闇に揺れるライトの光
白い息
喧騒と笑い声
大勢の男と女
暗い闇に浮かぶ1人の男
目を奪う冷たい美貌
鋭い瞳
ただ立ち尽くしているだけの男
それなのに目が離せない
周りを取り囲む男達とは明らかに違うオーラが闇に揺らめく。静かに佇む男が煙草を投げ捨てると、それが合図だったのか群衆が動き出す。
それは雲の上の人間。憧れだとすら思わない
まるで次元の違う人種。何を考え、何を食べ、どこに住むのかまったく想像出来ない。
まだ中学3年生だった私にとって、そのオーラはあまりにも眩しく目が離せなかった。
それは友達の気まぐれで連れてこられた暴走族の集会。
本当は友達とすら言えないような相手。
たまたま夜のコンビニで会った私に、女が1人だから一緒に行かないかと誘われた。
冬休み中だったのと、たいして用事もなく1人の家に帰るだけだった私は、特別迷うこともなく頷いた。
男が3人乗っている車に乗り込んだときは、正直怖かった。
それでもそのうちの1人が、誘ってきた女の子のお兄さんだと言われ安心する。
『防彈っていって、この辺では有名なんだよ』
車の中で親しげに話されて、とにかく頷く。
話の意味などサッパリわからない。
『この辺だけじゃねえよ、防彈は全国でも有名だ』
運転席からお兄さんが口を挟むと、隣にいる友達が返す。
『そうなの?でもそんなに大きくないでしょ?』
『まあな、でも歴史がある。防彈は今年の春で30年を迎えるからな。そんな族なかなかねえよ』
『そうか30年か、そりゃあ有名なはずだよな』
『テヒョンで15代になるよな』
『すげえな、まだ2年だろ?』
『でもテヒョンの効果でメンバー増えてるらしいぞ』
『どうかな。防彈ほど老舗になりゃあ、メンバーなんか増えても増えなくてもいいんじゃねえ?』
まったくわからない話に、わたしは窓の外の流れる景色を見る。
『どうして?』
『裏とも繋がってるからな。無駄にメンバー増やしても管理しきれねえだけだ』
その言葉の意味はサッパリわからなかった私にも、危ない話なのだとはわかった。
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作者名:るう | 作成日時:2018年9月13日 20時