雷柱、子供ができたようです。【完結】

13話 ページ14

善逸side



「はぁっ………はぁっ………！」



俺は急いで走っていた。



何故なら＿＿＿＿今日は、Aが子供を産む日だからだ。



さっき、手紙でAが入院している病院から連絡があった。



”子供が産まれましたよ"と。



任務で鬼と対峙していた俺は、到着が遅くなってしまった。



俺の屋敷から病院までの距離は遠くないから、走って行ける。



何とか病院に着き、Aがいる病室をそっと開ける。



「………A？」



病院なので、静かに声をかけた。



ベッドで横になっていたAは、こちらにゆっくりと向き＿＿＿笑顔のまま、……泣いていた。



A「善逸………ほら、見て…………」



変わらぬ笑顔。それと、綺麗な頬を伝う涙が、俺に感動を与えた。



何か心から込み上げてきて、目頭が熱くなり、頬に何かが流れた。



「…………A！！頑張った！凄く頑張った！！俺、今とっても嬉しいよ！！ありがとう！！」



悲しいくらい小さな、俺達の子供の手を、俺は優しく握った。



Aにはひたすら、「体、大丈夫？ゆっくり休んで！家の事は俺に任せて！」「ありがとう！」を言った。



Aは、「いいよいいよ、どうせすぐ退院できるし。」「善逸こそ、任務後なのに疲れてるでしょ？」と気遣ってくれる。



…………Aはどこまで気が優しいのだろう。


申し訳ない気持ちはあるけど、今は嬉しさが勝っている。


A「…………男の子、だって。立派になってくれたらいいね。」



「そうだね…………鬼殺隊に、入るのかな…………」



気持ちよさそうに寝る、まだ目を開かない”息子"の頭を、俺は優しく撫でた。

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