紫爛花

紫色と交した盃 ページ10

「いいか？お前ら箸に手を付ける前によく聞け」


完全個室をゲットし既にテンション高い猿たちも
社長の一言で一回は黙る。
社長への忠誠心だけは皆人一倍ある社員たち。


「今回の焼肉は経費です！」

「いつもやん」

「でも今日は経費使い込んでもAのせいになるけん」

「確かに」

「おかしいやんｗ」

「という訳で好き勝手酒肉頼みまくれー！」

「おーーー！」

「いや待て待て待て！」

「どしたん経費？」

「人を経費って呼ぶな！」


ちょくちょく使い込みすぎな月があったのはこれか？


「何？異論でもあるん？皆に言いよ」

「じゃあ言わせてもらいますよ？」

「今日は私の奢りやけん。好き勝手食べましょう。」

「うおーーーー！」

「姉御ー！最高ー！」

「誰が姉御じゃ！」


一応、まるとふぉいと同い年の最年少です。
宴会なんて可愛いもんじゃない
オス猿達の焼肉合戦が幕開けた。


「いや別にお前の奢りやないやん？」


やっと落ち着いてお肉に手をつけようとしたら
隣に座るふぉいに話しかけられた。


「謎理論には謎理論で返すのが一番っちゃん」

「いいの？経費使い込んで。」

「いいんやない？会社の借金は社長の借金やもん。」

「ははっ、そうなん？」

「今高級ワインぶちまけとー社長が来月目ん玉開いて驚いとー姿が楽しみやけん。」

「バリおもろい、そん時俺も呼んで。」

「勿論。一緒に驚かそう！」


社長から回ってきたワインを二人で乾杯する。
これがいたずらの盃。
悪巧みに加わった時のふぉいは誰よりも輝いとる。


そして一方周りの男達。


「あいどーもヒカルでっす！今回はですねぇ
会社の経費で焼肉食ってみた、やっていこうと思うんですけどぉ」

「あははｗｗｗｗ似とるｗｗｗ」

「まえす！おいまえすぅ！」

「チバニャンｗｗｗやめてｗｗｗｗ」

「まるがこぼしとー！」

「しょんべんやしょんべん！」

「まるこれで拭いて！もう、なんでこんなおもろいんｗ」

「Aそれ銀太のシャツｗ」

「皆相当出来上がっとー ずっと元気やし」

「でもこれしばらくしたら多分...」


案の定 銀太はゲロ。脇寝とる、社長突っ伏、まる失神。


「チバニャン...生きとー...？」

「まぇす.......」

「ふぉい！チバがかろうじて生きとった！」

「じゃ、事務所までのタクシー代はチバに決定な。
俺コイツら用のタクシー外で捕まえてくるわ」

「え、ほんとにチバに任せて大丈夫？」


口走ってから気付いた。そういや私さっき。


「お前は俺と一緒に帰りたいんじゃないと？」

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