紫爛花

出逢った頃、覚えてる？２ ページ41

「すぐプリンになっちゃって嫌なんよね…」

「俺が行っとーとこは、リタッチでこんくらい。」

「え！めっちゃ良かばい、教えてよ！」


俺、何仲良くなってんの？

Aも俺も人見知りなわけでもないけどな。


「それにしても、ギャルになったなぁ。」

「心機一転、なんか変わりたいなぁって思って。」

「女は、こーゆーとこよく分からん。」


俺はAの栗色の地毛も好きやったよ。
なんて、言ってやらんけど。


「それで、元彼とは？」

「何も無いよ。ただ、絃歩のクラスに行きづらいくらいやけん(笑)」


きっとこいつは、好きを知らない。
別れた理由が、自分が相手の好きを分からず付き合ったこと。
好きを受け取って貰えない苦しさと悔しさを。


「絃歩はどーせ、エ ロい女ばっかりヤっとーっちゃろ？」

「ケツがデカくて、バリエ ロい女な。」

「ハイハイ、そこの前置詞大事でしたね。」


相変わらず遊んどーよ。
お前も全く同じように後先考えず、何構わずに
扱うことができたらいいのにと考えてしまうほど。

それなら、Aと汚い話でも何でも
話せる位置になってやろうと思った。


これは俺の唯一の位置。

例えば、Aが泣きたくなるくらい悲しい時は
弱音を吐く姿も見せてくれたらいい。


俺は、Aにとってこれでいい。

え？男女の友情は成立しないって？
ああ。その通りだと思うっちゃん。
そういうのって大体どっちかが我慢しとーパターンやけん。


「ん、なんか懐かしいな。その髪色。」

「どうせすぐ落ちるけど、地毛に戻そうと頑張り中！」


そう思っていた高校時代。
そして拗らせたレペゼン結成少し前の時代。

全部知っとーよ。
脇好みになる為に、可愛くなろうとしとること。


耐えられなくて、割と早い段階で聞いた気がする。
帰ってきた答えは、ガチ照れ。


あれだけ好きの意味とは？だったお前が、
「恋をした」「好きな人が出来た」と
その後、しっかり発言をしたのだから。


「どう？似合っとー？」

「うん、可愛い。自信持って。」

「絃歩。いつも、ありがとうね。」


なあ、A。俺普通に嫉妬とかするっちゃん。

お前はやっぱ爽やかで運動出来る男がタイプ？
脇くらい優しくて、良い男ならって何度も言い聞かせた。


「ふぉい、顔が反社すぎとーよ。」

「いきなりなんなんチビ。」

「思い詰めとー顔しとーと、Aに心配されるぜ？」


うるせぇ赤髪。(こん時は茶髪)
俺の方が知ってたよ。期間も、中身も何もかも。


なあ、脇。

頼むから、俺が諦められるうちに連れて行ってくれ。
Aが欲しいなんて、望まないから。

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