紫爛花

紫色の爪痕 ページ4

【いつから...？】

【そんなん、覚えてない。】

【ほら！嘘！】

【お前が脇を好きになる前から好きだったのは確かったい】

【うっそ.....】

【だから嘘じゃないって。】


昨日の発言が頭から離れないまま。


「A、おはよ。」

「うわっ！」

「うお、めっちゃびっくりするやん」

「脇？おはよう…」

「えらい考えこんどーみたいやけど。まだ体調悪いと？」

「体調？」


そっか、昨日は熱があるってことで帰ったんだっけ。



「全然大丈夫やけん。この通り！」

「ほんと？よかったあ。めっちゃ心配しとったんよ？」

「ごめん、心配かけたね。」

「ま、Aが元気になったならよかばい。」


謝る必要何も無い！そう言っていつもみたいに
大好きな優しい手で頭を撫でてくれる。


「...A、昨日はさ？」

「うん？」

「あの後ふぉいとおったわけやろ？」

「ふぉいに何もされとらん？」


昨日ふぉいに何かされたっけ？
そういやふぉいが私を好きだとか何とか...
そういやアイツ、キスしやがったな...？


「む、無理！」

「ちょ、顔また真っ赤よ？」

「いや大丈夫！何もされとらん！」

「それ、ほんと？」

「うん、ほんとよ！...うわ！」


振り向いた時に鬼の形相のふぉいがいて叫ばん人間おる？
中町JPとかきっと一発で死んどると思うんよ。


「コイツ連れていきたい。話終わった？」

「な、何？どうしたの？」

「俺がAに用がある。こっち来て」


まるで自分の物かのように肩を抱き寄せられ、
普通に足元ふらついた。不可抗力でふぉいに寄りかかる。


「なぁ、ふぉい」

「なに？」

「ふぉいって、Aのこと好きなの？」


脇さん、その質問今一番ダメなんよ。


「好きだよ。｣


昨日はまぎれもなく現実だった。
きまずい。黄色と紫を前に。

でも、その一言の他に何も言わなかった。
反対に脇に何も聞き返さなかった。
私を傷つけないようにする姿勢が、痛いほど伝わった。


「うわっ」

「誰かさんは呑気に考え事しとー余裕があってよかばい」

「急に止まらんでよ！」


それ以上の会話はなく、またふぉいに連れていかれたけど
昨日からふぉいと脇はずっと仲悪そうなのが気がかりで。


「お前は何とも思わん？」

「え？」

「抵抗もせずノコノコ着いてきて。好きって言っとった男と二人きりなんて、襲われるとか思わんっちゃん？」


事務所の階段の影の壁に追いやられ
体格も身長も何もかも大きいふぉいに覆われる。


ふぉいってこんな顔してたっけ？

こんなに良い匂いするっけ。
間近で何度も見たこと、あったのに。

紫が守ってくれるから→←紫爛花

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す