貧血少女の秘密 3【ky】 (ページ13)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:13,622 hit

十三話ページ13

キヨside

Aが突然フジの好きな人を聞いてきたことに物凄く驚いた。

「…え…何で…？」

何でお前がフジの好きな人が知りたいんだよ。

『だって、キヨ君はフジ君と仲がいいでしょう？だから…』

誰かに聞かれたからとかじゃないってことは、お前自身が知りたいってことだよな。

…何でだよ。

「……ダメなのか…？」

『えっ、な、何が？』

足を止めた俺に気付いて駆け寄ってくる。

『えぇっ！どうしたの？私何か＿』

考えれば考えるほど、嫌な方向へ向かってしまう。

「俺じゃダメなのか！？」

『…え…？』

Aは…俺のことが嫌いになったのか？

「朝、フジに話したのもその所為なのか？」

俺は、一番そうであってほしくないと願っていたことが答えだという考えに至ってしまった。

「俺より…フジの方が好きなのか？」

はい、という答えを一番聞きたくない問いかけだった。

『な、何で！？だって、キヨ君は私を惚れさせるんでしょ？私もキヨ君惚れさせるし…。

私がフジ君のこと好きだからフジ君の好きな人聞いたと思ってる？』

問いかけを問いかけで返された。
ってか、え？嘘…。

「…え、ちげぇの…？」

『ち、違います！私が一番好きなのはキヨ君です！』

「っ…」

何でいきなり告ってくんだよ！Aは！！

告られたら、そりゃあ顔も赤くなる。

恥ずかしさに耐えられなくなって、俺はAを抱きしめていた。

嫌われていなかったことの安心感で、俺は涙が零れそうになった。

言葉では強がっていたものの、声は自分でもわかるほど震えていた。

『今はキヨ君に抱きしめられてるのでキヨ君の顔も見れないなー…ってことで…』

Aが俺の背中に手を回して、さらに距離が近付いた。

女にこんな気遣いさせるなんて、格好悪ぃ。

『…お騒がせしました。』

「…本当だよ…馬鹿…」

本当に嫌われたんじゃないか、不安で仕方なかった。

堪えていた涙がついに溢れ出した。

女の前で泣くなんて格好悪い。

必死で声を抑えたが、抱きしめていたので、震えが伝わっただろう。

こんなに辛い思いをして、やっと気がついた。

＿＿やっぱり、俺はAのことが好きだ。