二日目 3 ページ9
対戦型アクションゲームはキヨ君が勝利。
レース型アクションゲームは私が勝利した。
1対1。
最後のシューティングゲームで決着が着く。
多分、今日一番の試合をしてるんじゃないだろうか。
さっきまでとは会場の盛り上がりが違う。
シューティングゲームは目の前の的を撃つことで得点を取るゲーム。
一点でも多く得点を稼いだ方が勝ちだ。
キヨ君の方を見れば、さっきとは違い一切眠気もないようで早くゲームを始めたいようだ。
『…キヨ君。』
「ん?」
『どっちが勝っても恨みっこなしだよ!』
「こっちのセリフだ!」
私は深呼吸した。勝っても負けても構わない。とにかく全力で戦う。それが私達の目的。
でも、2人とも勝ちたいという思いは変わらない。
「それでは!ゲームスタート!!!」
美咲の声でゲームが始まった。
・・・・・・・・・・・
「結果発表です!暁!18900点、
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清川!19000!!勝者清川!!!」
トーナメント戦のため、私はここで退場だ。
次の試合まで休憩もあるし、一度離れてからまた応援しに来よう。
会場の上では笑顔だった。
退場し、一人になると視界がぼやけた。
…足音がする。キヨ君が私の元へ駆け寄ってきたようだ。
「A!お疲れ…って…。お前っ!何で泣いてんの…?」
視界がぼやけたのは涙の所為だったのか。
そんな風に冷静なままでいれれば良かった。
でも、振り返り、キヨ君を視界に入れた途端に堪えていた感情が溢れ出した。
…悔しい。
凄く悔しかった。
負けたくなかった。
…けれど、どこかで喜んでいる私がいる。
この涙も、悔しいからなのか、嬉しいからなのかも分からない。
「恨みっこなしって言っただろ…」
心配した様子で私の目元に手をあててくる。
涙を拭いてくれてるのだろう。
私は絞り出すように声を出した。
『…っ…悔しいよ…。…勝ちたかった。…けど、…キヨ君に勝って貰えて…嬉しかった。』
これ以上泣いているのを見られたくなくて、一歩下がろうとしたが、キヨ君に腕を引かれ、抱き締められた。
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作者名:璃音哀 | 作成日時:2017年4月25日 22時