胃袋掴んじゃいました【呪術廻戦】 (ページ5)

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悟 side

さっきタバスコ入りの料理を無理矢理食わせたせいか床にぐったりと寝転んでいるAを見下げる

やっと見つけたと思ったら何ら変わってねえし俺の事を覚えてねぇ。1発殴ってやろうかなとも思った。衝撃で思い出すだろ

「そういやお前俺の事名前で呼ばねえの？」

『は？お前なんぞクソガキで充分だわ。まあ今すぐ床に這いつくばって謝罪して私をここから逃がせば名前を呼ぶこともやぶさかではすみませんすみませんお願いだからその足を下ろして踏まないで』

口調も性格も見た目も何もかも2年前と同じままで寧ろ今まで見つけられなかったのがおかしいくらいだ

Aと初めて会ったのは2年前、俺が屋敷から抜け出して家から遠めの公園でブランコに揺られているときだった

『ガキンチョ、何してんの？こんな廃れた公園に1人で』

いきなり現れたAは当然のように隣のブランコに座り、話しかけてきた

俺を連れ戻しに来た実家の回し者かとも疑ったが、それは無いなとすぐに確信した。阿呆面だし

「別に。窮屈だから出てきただけ」

『ふーん。見たところ日本人離れしてるし金持ちの坊ちゃんってやつ？？』

「純日本人だけど」

『冗談きついわ。あ、靴脱げた』

Aが何故こうやって当然のように俺と話しているのか困惑することは多かったが、初対面であるAの隣は何故か居心地が良かった

そのせいなのか、小さく俺の腹が鳴った

小さい音でもAは見逃さず、持っていた鞄から弁当を出して渡してきた

『食べなよ。腹減ってんでしょ？私の手作りで悪いけど』

「お前料理出来んの？明らかに家事全般出来ないタイプに見えた。阿呆面でも出来るんだね」

『おう喧嘩売ってんなら買うぞクソガキ？？』

「やめなよ、どうせ俺には勝てないし」

『ガキのくせに厨二病発症するの早いな』

なんの疑いもなく弁当をあけ、中身を口に入れた
正直認めたくなかったが、実家で出された高級食材を何個も使われたご飯より断然美味かった。今まで食べたどの料理よりも

『さてと、そろそろバイト行かないとな』

「…ねぇ、名前なんて言うの？」

『ん？藤宮A。じゃーねクソガキ、寄り道せず帰りなよ』

そう言って帰って行くAの後ろ姿を見ながら決めた

絶対俺の物にしてご飯を毎日作らせる。

それから2年、やっと働いてる店を突き止めてこの家に連れてきた

暇つぶし相手にもなるし、何より味の薄い実家の飯を食べなくて済む

お前が俺の胃袋を掴んだんだ。

俺もお前を離すつもりは無い、覚悟しろよ