乱歩さんが不憫すぎる件について

20　乱歩side ページ21

早くに目が覚めてしまった




昨夜はAのお陰でぐっすり寝むれた




けど、Aは寝れてないだろうね




なんたって僕が一緒に寝たんだから！




キッチンからは、扉越しに食器やフライパンの音がする




まだ出来てないなら、起きなくてもいいよね




それと今日のこと＿＿Aのことを考えよう




まず始めに、好きな人って本当にいるのか？




Aのことだから、なにか原因があって嘘をついたかもしれない




じゃあなんで嘘をついたのか




Aが嘘をついてでも守ろうとするのは、社長、与謝野さん、あと僕




僕ではないということは、その二人になる




……そう言えば与謝野さんはどうして僕とAを同居させたのか、どうして僕はそれが気にならなかったのか




……Aとの同居に対しての、驚きと喜びが大きかったからだ




与謝野さんが僕にそれを告げたあの日、二人…いや、三人は何をしていた？




与謝野さんがAを廊下へ連れていき、恐らく僕のことを話した




そして部屋へ戻ってくるときには何故か社長も一緒で、与謝野さんが同居のことを僕に言った




「…そういうことか」




うっすらと全体像が見えてきた




Aたちが廊下に出たときに与謝野さんと社長は言ったのだ、僕と同居しろ、と




もちろんそれだけではない、Aが魅力を感じるような理由を並べて丸め込んだのではないか




そして与謝野さんは本をあげた…、というところだろう




何故二人がそんなことをしたか、おおかた僕のためだろう




ただこれは仮定から結論まで、全てが僕の予想であって、決定付けられたわけではない




ならば直接Aに聞くしかない、そう思い、リビング兼キッチンへの扉を開けた




『好き……』




「……A？」

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