桜の舞う季節【短編集】 (ページ8)

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智くんとご飯食べて、お風呂に入れた後、寝室へ連れて行った。いつもは自分も椅子に座って眠るんだけど、今日はリビングへと戻ってきた

夕方に頭を掠めたことについて考えたかった。

智くんが記憶を取り戻さなくても、このまま俺が支え続けたい。それはもちろん苦しいし、辛いけれど、俺は傷ついてもあの人の側にいたいから。

でも、それは俺のエゴに過ぎない。

智くんはどうだろうか？いや、考えるまでもない。思い出したいに決まってる。でも、俺が死んで、智くんは自分を責めないかな？俺は何事にも縛られない智くんが好きだった。だから、俺という存在に囚われて欲しくない。

でも、

彼が俺に囚われて生きるのか、

それとも、俺のことを過去のことにしてくれるのか。

それは彼自身ではないと分からない。

＿＿＿＿だったら賭けてみようか。智くんが前を向いて歩み続けてくれる方に。

あなたの心に大きな傷を残すことを許してね。