【遊戯王VRAINS】闇に紛れた月Ⅳ (ページ39)

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月夜百五十六夜目ページ39

閉店作業を終えた草薙が、モニターに圧縮ファイルの解凍パスワード入力画面を映し出す。

『Who is in this？』

直訳すればこの中にいるのは誰だ、という問いかけ。

「遊作、このファイルの中に何が入っているのか、検討がついたのか？」

「あぁ、あまり自信はないが。」

そう言いながらも一切迷いのない瞳で、キーボードをカタカタと叩く。
そうしてパスワード入力欄に入力された文字は。

「……Queens？」

【えぇっと、それってつまり……】

草薙とAiの困惑する声を聞きながら、遊作は再びエンターキーを押した。
途端、ピピッと軽い電子音と共にパスワードが合っていることがシステムから告げられる。

「！？」

【ウソ、解凍できちゃった！！】

遊作は「このまま解凍しますか？」というシステムからのメッセージに従ってそのままフォルダを解凍し、中に入っているデータを開いた。
そこには……

「やっぱりな。」

【こ、これって……】

「これが、New Moonから贈られた圧縮ファイルの中身……」

それは、4枚のカード。

黒色のカード枠を持つエクシーズモンスター『死神女王デスフィア』
白色のカード枠を持つシンクロモンスター『アイスクイーンオリガ』
青色のカード枠を持つ儀式モンスター『現実女王ルドラ』

そして

{{わーい！！！！やっとでられた！！！！！圧縮ファイル内クッソ狭くて身動きがまったく取れなかったんだよね、でもこのモニター内はなかなか広くて安心するなぁ。ここにマスターもいたらもっと最高だったんだけど。でもそんなこと言ってたってどうしようもないからね。

だから私は、私にできることをするよ。}}

紫色のカード枠を持つ融合モンスター『未来路女王ハルミア』に描かれた、動くはずも喋るはずもないイラスト。
それが当たり前のようにカード枠から抜け出して、モニター内を自由に動く。

{{はじめまして、Playmaker。もとい、藤木遊作。草薙さん。そして、イグニス。

私はアテナ。『未来路女王ハルミア』に宿るもの。}}

以後よろしくね、とアテナと名乗った彼女は、モニター越しにこちらを見つめると、にっこりと微笑んだ。