【遊戯王VRAINS】闇に紛れた月Ⅳ (ページ35)

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月夜百五十二夜目ページ35

そこはいつもの見慣れた自分の部屋……ではなく、浅葱未月の部屋だった。フローリングの床に寝かされていたためか、少しだけ背中が痛む。
壁にかけられたデジタル時計を見ると、遊作がこの部屋に入ってから数時間は経過していた。

「ここは、浅葱の部屋……」

【俺たち、まさかそのまんま放置されてたのか？】

辺りを見回すが、亜理子の姿はない。やはりレジーの言った通り、すでにここから離れているのだろう。例の亜理子が割っていたマグカップはそのままにされてあることから、急いで逃げたのかもしれない。

「…………。」

【おぉい、遊作ぅ、どったの？】

Aiの言葉に返事をすることもなく、遊作は無言のまま、スマホを手に取った。そして素早く操作をし、耳に装着すると、すぐさまコール音が鳴り始める。相手はすぐに出たようだ。

『もしもし？』

「草薙さん、今どこにいる？」

『ん？今は店にいるぞ。そっちこそどうしたんだ？急用なのか』

「ああ。実は―――……。」

ーーーー

パチリと目を覚ます。するとそこは自分の部屋ではなく誰かの部屋のベッドの上。一瞬何故こんなとこに寝てるんだろう、と戸惑ったが、途端にさっきまでの記憶が蘇ってきた

「そっか……私、」

辺りを見渡すと、そこは真っ白な壁に囲まれた病室のような空間だった。自分から見ても悪い意味で痩せている体には水色の病院服が着せられ、腕には点滴が打たれている。空調が立てる静かな物音だけが病室には響いていた
確かリボルバー達は私の事を既に保護している、と言っていたから、恐らく此処は病院もしくはハノイのアジトなのだろう
とりあえず起き上がろうとベッドに肘をついたが、ガンガンと痛む頭に気づいてまたベッドに倒れこむ。フラッシュバックだろうか。だがこんなにフラッシュバックが辛く感じるのは久しぶりだ
そういえば今は何時なのだろう、と気になって時計らしきものを寝ながら探したが見つからず、窓もないため今が昼か夜かも分からない

「……チッ、」

思わず舌打ちをすると、突然壁の一部が開き、其処から白髪の青年と赤い髪の白衣を着た女性が現れた

「気がついたか」

「……貴方、もしかしてリボルバー？」

男の特徴的なテノールボイス。此方をじっと見つめるパライバトルマリンの瞳を見つめ返してやれば、ふいっ、と目を背けられた

「私は鴻上了見。此方はドクター滝。LINK VRAINSではリボルバー、そしてバイラと名乗っている」