【遊戯王VRAINS】闇に紛れた月Ⅳ (ページ13)

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月夜百三十四夜目ページ13

ーー浅葱の部屋は、とても殺風景だった

飾りっけのない真っ白な壁に、カーペットの敷かれていないフローリングの床
目に入る主な家具は壁にかかったシンプルな時計と、サプリメントらしき袋が大量に入った棚と計五台のパソコン、整えられたベッド。そしてパソコンのすぐ近くの床には先程の音の発生源と思われる壊れたマグカップと、それを必死にモゾモゾと集める真っ赤なカタマリ……

「ふえええええ……何でこんなときに限って、こんな……！未月ちゃんのお気に入りのマグカップかもしれないのに……」

そのカタマリはグスッ、と鼻を啜ると、

「……もう自分が嫌になる……最低最悪私みたいなゴミ虫が存在しているだけでこの世の悪なのに更に私の存在価値がマイナスになっていく……。これじゃあスペクターさんに怒られる……」

と、キノコが生えそうな位グズり始めた。いや、苔が生えているのでもう遅い

「……亜理子？」

恐る恐る、そのカタマリの名前を呼ぶと、カタマリはﾋﾞｸｯと肩を震わせ

「ヒッ……！？ど、泥棒！？じゅ、住居不法侵入者！？ごごごごめんなさい、この家に金目のものは無いんですぅぅぅ！！」

「落ち着け、理出。俺だ。藤木だ」

「あ、あ、あ、飴ちゃんならありますので、それで勘弁してくださいぃぃぃ！」

遊作が宥める声も完全に聞こえていない様で、腰が抜けた状態+涙目の亜理子に、遊作は個包装の飴玉を顔面に向かって投げつけられた