【遊戯王VRAINS】闇に紛れた月Ⅳ (ページ12)

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月夜百三十三夜目ページ12

理出亜理子をそこんじょそこらにありふれた言葉を使って現すのならば、『ドジっ子』と呼ばれる類いの少女だった

口を開けば三回に一回は舌を噛み、移動教室だからといって移動しようとすると手元にある校内地図を睨みながら迷ったり、なにもない筈の廊下で頭からスッ転んだり

本当にお前は退院していて大丈夫なのか、と何度もクラスメート達に冗談混じりに問われていたが、本人は「あ、あはは……」と笑うだけだった

そして今は放課後。遊作は担任に頼まれていたプリントを未月に渡しに未月が一人で暮らしているというマンションに向かっていた

【……本当にアイツ、ハノイの騎士の仲間なのかな？】

「人は見かけによらない。あれだって演技かもしれないだろう」

【うーん、俺が調べた情報によると、偽物のドジっ子って狙ってる男の前だとドジしまくるけど、一人になると全くドジしなくなる。それに人間は意図して頭から転びにくいらしいぜ！】

「それ、何処からの情報だ……？まあ、用心することに越したことはない、か。

……それより、ここのマンション、入り口ポストがないんだが」

適当にマンション前のポストに入れておこうと思っていたが、このマンションには珍しくそれがなかった

【うーん、こりゃ部屋まで行かなきゃな。浅葱の部屋番は7階の11号室らしいぜ！】

ーー 7階 11号室

真っ黒な扉、その横の入居者名部分にはゴシック体でプリントされた『浅葱未月』の文字
ピンポン、とインターンホンを押すが、反応は一切ない

【うーん、留守か？】

「ひょっとしたら病院に行っているのかもしれない。とりあえず、プリントはポストに入れておくか……」

プリントをポストに差し込もうとしたその時

突如部屋の中からガッシャーン！！と何かが壊れる音が響いた

「……！？」

【え！？何！？もしかして浅葱、中に居たのか！？】

そうだとすると、先程の音は浅葱に何かあり、その際に倒れてしまった家具の音かもしれない

急いでドアノブを回し、部屋の中に入る
一応、Aiには暫くの間黙っているよう伝えておいた