【遊戯王VRAINS】闇に紛れた月Ⅳ (ページ42)

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月夜百五十七夜目ページ42

「お前が、アテナなのか」

まるでモニターという海の中で泳ぐように、カード枠から飛び出して自由に移動し、こちらに話しかけてくる少女イラスト。
そんな非現実的な光景に、少女に問いかけた草薙の声が震える。

{{うん。LINK VRAINSで遊作君と会ったのは、GO鬼塚とのデュエル以来になるのかなぁ。あ、でもアバター使ってない私の姿って見えないから意味ないのか。そうなるとー……うん、やっぱりはじめまして、であってるね！}}

あっけらかんとした口調でそう言うと、アテナはモニターの中で楽しげにくるり、と一回転した。

「お前の目的はなんだ。なぜNew Moonはお前たちを俺たちに寄越した。」

アテナの自由気ままな様子とは対照的に、警戒心を露にした声で、遊作はそう尋ねる。
そんな彼の様子を気にもせず、アテナはう～んと小さく考えるような仕草をして、口を開く。

{{正直言って、こっちが聞きたいんだよね、私も。なんせ突然だったし。

SOLテクノロジーのメインコンピューターに侵入したあたりから記憶があやふやでさ。なんかマスターの様子がおかしくなったと思ったらいきなり圧縮フォルダにいれられたからね、こちとら。

だから目的なんて何もないわよ。強いて言えば、マスターの願いを叶えることくらい？}}

「マスター……New Moonのことか？」

草薙が怪しみながら聞くと、アテナはあっさりとうなずいた。

{{そ。私たちの主。私たちはマスターの願いを叶えるために生きているんだー。

……で、話は終わり？終わったんなら私、さっさとマスターの元に帰りたいんだけど。}}

【｢「え」」】

思わず、遊作と草薙、Aiの声が重なる。

｢待て、アテナ。まだこっちの話は終わって｛｛お、この回線ちょうどLINK VRAINSに繋がってんじゃん！ここから帰れそう｝｝草薙さん！！ネット回線を切ってくれ！」

「任せろ！」

焦った様子の遊作の言葉に、即座に草薙が応じる。モニター全てのネット回線を遮断すると、デュエルディスクからバチッと音がして。

｛｛イっっっった！！！！｝｝

そしてそれと同時に、アテナの悲鳴がキッチンカー内に響いた。