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私が目覚めたのは、眠りについて数ヶ月が経過した頃だった。
『…ぁ…』
私自身は、眠りについた記憶すらなく、長い間眠っていたとは思えないほどあっさりと意識を取り戻した。
しかし腕には点滴のためと思われるチューブが繋がれていて、体は思うように動かず、声も出にくい。
『りゅ…と…くん?』
龍「A!?やっと目、覚ましたんか!?」
心配そうに駆け寄ってくる龍友くん。
でも隣にいたはずの涼太の姿はない。
『…涼太は?』
龍「…消えた。」
『え…?』
龍「Aの血で抗毒薬作ったんやけど、涼太もなかなか目を覚まさのうて…少し目を離した隙に。」
『…なん…で…?』
龍「自分が近くにおると、Aに危害が加わると思ったんちゃう?」
『そんなこと…』
龍「ないとは言われへんやろ。吸血鬼がAの存在に気づいたのも、涼太が近づいたからや。」
『でも私は涼太のそばにいたい。
今の私があるのは…涼太に何度も救われたから。』
龍「それはわかっとる。でもな…」
『私にとって、涼太がいないことほど辛いことなんてない!例え死のうとも…最期まで涼太といたいの…』
龍「A…」
涼太を探しに行こうとするけど、体は言うことを聞いてくれず、そのままベッドから倒れ落ちた。
もどかしさと、悲しさ、辛さから涙がこみあげてきて、そのまま床に落ちた。
龍「大丈夫か?」
『なんで…なんでよ…』
勝手に消えてしまった涼太。
ぶつけようのない怒りが溜まっていくばかりで、悔しくてたまらなかった。
でも涼太との再会は、このときの私が想像していたよりも遥か先のことだった。
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りさ - いえいえ(*^-^*)新作楽しみにしてます(*^-^*) (2020年9月29日 4時) (レス) id: b925f584b2 (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - りささん» ありがとうございます!なるべく早く更新できるよう、頑張りますね! (2020年9月24日 22時) (レス) id: 34d49d678f (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - 片寄楓さん» ありがとうございます!書いた甲斐がありました(笑) (2020年9月24日 22時) (レス) id: 34d49d678f (このIDを非表示/違反報告)
りさ - えっいつの間に完結になってたの?本当はもっと読みたかったけど新作楽しみにしてます(*^-^*) (2020年9月23日 0時) (レス) id: 76aa5cadc8 (このIDを非表示/違反報告)
片寄楓(プロフ) - 完結おめでとうございます!!涼太くん推しなのでこのお話は読んでいてドキドキしました(≧∇≦)何度も読み返したくなる作品です。またいつか別のお話、楽しみにしてます(>_<) (2020年9月20日 15時) (レス) id: a5a37dc932 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いくら | 作成日時:2020年4月6日 23時